本来は青切符処理だったのに…「速度違反」否認で48歳男性が「逮捕」!? 一体なぜ? 交通違反で取り締まりを受けたときに注意すべきこととは
静岡県内の道路上で速度違反の疑いをかけられた男が交通違反を認めず、警察に現行犯逮捕されました。男の速度違反は本来「青切符」で処理されるものでしたが、一体なぜ逮捕に至ったのでしょうか。
取締時の対応で「現行犯逮捕」される可能も!
2025年9月21日から9月30日までは、秋の全国交通安全運動がおこなわれています。一般的に交通安全運動期間中は各地で事故防止の啓発イベントが実施されるほか、警察による交通違反の取り締まりが強化されます。
そのような中、静岡県静岡市葵区の県道において速度超過の疑いで、静岡市清水区に住む自称・会社役員の男(48歳)が現行犯逮捕されました。
男の速度違反は本来、反則金を納付すれば刑事罰の対象とならない「青切符」で処理される予定でしたが、一体なぜ逮捕につながったのでしょうか。

この事案は9月23日の正午すぎ、警察が全国交通安全運動に合わせ、定置式のレーダーで速度違反を取り締まっていた際に発生したもので、男の運転する乗用車が法定速度の時速40kmを超えていたことから、警察官が男を停止させました。
男の速度超過は時速30km未満であり、警察官が青切符を男に交付しようとしたところ、「速度違反はしていない」と違反を認めませんでした。加えて、男が運転免許証の提示を渋ったため、警察は証拠隠滅のおそれがあるとして男を道路交通法違反(速度超過)の疑いで現行犯逮捕しました。
男は逮捕後、「なぜこんなことで逮捕されなければいけないのか」などと話しています。
意外に知られていませんが、警察官から運転免許証の提示を求められた際にそれを拒否すると、状況によっては逮捕される可能性があるため注意が必要です。
道路交通法第95条第2項には、ドライバーが交通違反をしたり交通事故を起こしたりした際、警察官から運転免許証の提示を求められたときは運転免許証を提示しなければならないと規定しています。
このルールはドライバーが「無免許」や「免許証不携帯」といった状態でないか、ドライバーに引き続き車両の運転をさせて良いかなどを警察官が確認できるようにするためのものです。
また運転免許証を提示しないのは「自分の身分を明かさない」ことであり、逃走のおそれや証拠隠滅のおそれがあると判断される可能性が高いことから、運転免許証の提示を求められた場合にはすみやかに提示した方が良いといえるでしょう。
今回の事案に対してインターネット上では「レーダーで記録されている速度が証明されて、速度違反はほぼ確定しているのだから、どんなに速度違反をしていないと言っても無理だろうと思う」といった声のほか、「違反を認めたくなければ、前科が付く可能性があるという覚悟で正式に裁判で争えばいい」などの意見が聞かれました。
仮に交通違反で警察官から青切符を交付された場合、一定期間内に反則金を納めれば、その違反の処理は終了し、ドライバーが刑事罰に問われることはありません。
その一方、反則金を納めないままでいると最終的には刑事手続きに移行します。具体的には警察官や検察官が取り調べをおこなった後、検察官が起訴するかどうかを判断し、起訴されれば裁判所で判決を受けることになります。
また反則金を納めなかったケースに限らず、ドライバーが取り締まりを受けた現場で青切符の交付を拒否した場合も、道路交通法違反事件として検察庁に送致されるという刑事手続きに移行するため、その点は留意しておくべきといえるでしょう。
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上記のほか、警察官から取り締まりを受けた際に青切符を破ると「公務執行妨害罪」または「公用文書等毀棄罪」に該当するおそれもあります。
もし交通取り締まりを受けた際には、どんな状況でも落ち着いて対応することが大切です。
Writer: 元警察官はる
2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。
















