道路に描かれた「謎の“ひし形”マーク」どんな意味? 知らない人は「ハンドル握っちゃダメ!」 見逃すと「うっかり違反」の可能性も
道路上に描かれた「ひし形」のマークは何を意味するか、あなたは今すぐ答えられるでしょうか。このマークは見落としがちですが、かなり重要な道路標示のひとつなんです。
超重要! ひし形マークがみえてきたらいつでも「止まれる準備」を
道路上には、様々な文字や記号がペイントされています。
黄色や白でペイントされた表示には、それぞれどのような意味があるのでしょうか。

道路上に記された文字や数字、記号を「道路標示」といいます。道路標示には見た目で分かりやすい「規制標示」と、ちょっと意味がわかりにくい「指示標示」があるのです。
規制表示の代表例は、追い越し禁止のオレンジラインやUターン矢印とバツ(×)の転回禁止の表示など。車両通行区分や専用通行帯を示したものも、規制標示のひとつになります。
一方で少しわかりにくいのが指示標示です。
横断歩道そのものや停止線・中央線なども指示標示のひとつですが、中には導流帯や安全地帯や路上障害物に接近していることを示すものなどもあるのです。
そしてよく見る道路標示なのに、その意味があまり浸透していないのが「ひし形」の指示標示。
ひし形は2つ連続で表示されることが多く、その先には必ず信号のない横断歩道や自転車通行帯があるのです。
ひとつ目のひし形は、横断歩道の50m手前に表示されており、ふたつ目は30m手前に描かれています。
認知度の低いこの道路標示は、その先に運転する上で非常に重要かつ注意しなければならないものがあることを、日常のドライビングの中で教えてくれているのです。
JAF(日本自動車連盟)が2024年に実施した「信号機のない横断歩道での歩行者横断時におけるクルマの一時停止状況全国調査」によると、信号機のない横断歩道を歩行者が渡ろうとしている場面で、一時停止したクルマは全体の53%にとどまっています。
つまり約半数のクルマが、歩行者の待つ信号機のない横断歩道の前で止まらないという結果が出ているのです。
各都道府県で一時停止率は上下しますが、全般的に言えることは「ひし形の意味が分からないため、事前に信号のない横断歩道を認識できていない」ということ。
道路交通法第38条の1項では、車両が横断歩道などに接近する際、横断しようとする歩行者や自転車が確実にいない場合を除き、横断歩道などの直前で停止できる速度で進行しなければならないと規定されています。
さらに、横断中あるいは横断しようとする歩行者・自転車があれば、横断歩道などの直前で一時停止し、歩行者等の通行を妨げないようにする必要もあるのです。
道路上は、自動車専用道路でない限り、基本的に歩行者が優先となります。横断歩道に気づかなった、横断しそうな人に気づかなかったからと言って、信号のない横断歩道を減速もせずに突っ込んで良いことなど絶対にありません。
道路に描かれた「ひし形=信号のない横断歩道」という知識と認識を持って、道路上でひし形の指示標示に出会ったら、アクセルペダルから足を離し、減速してブレーキを踏む準備をするように訓練していきましょう。
※ ※ ※
前述の2024年のJAF調査結果のなかで、信号機のない横断歩道におけるクルマの停止率が最も高かったのは、87%の長野県でした。
全国平均がこのくらい、あるいはこれ以上の数字になるように、ドライバーひとりひとりが標示や標識を正しく理解し、日ごろの運転に生かせる世の中になることを切に願います。
Writer: 赤羽馬
金融業・自動車ディーラー営業マンを経て、ライターとして独立。幼少期からの自動車カタログ収集癖あり。エンドユーザーに役立つ話や経済・金融とクルマに関する情報を発信中。
























