免許不要、公道でも乗れる「新・移動用小型車」 「移動するため」ではなく「移動した先」での利用を想定したモビリティ!? ホンダ「UNI-ONE」開発経緯と乗り味とは
気になる乗り味や開発の経緯は?
ホンダは、9月8日にUNI-ONEの発表に際し、メディア向け発表会を行いましたが、登壇した新規事業開発部 UNI-ONE事業ドメイン 事業責任者 中原大輔さんは同モデルについて次のように話します。

「ホンダは地上から空、そして宇宙へと、様々な多様なモビリティにチャレンジしております。
そんな中UNI-ONEは、より人に身近なモビリティとして、自由な移動の実現に挑戦してきました。
ホンダの持つ4輪2輪のモーター技術やバッテリー技術に加えASIMO開発で培った、高度な制御技術、これを融合した確信的な製品となっております。
人の可能性を拡張するホンダのロボティクスの、最初の製品となるのがUNI-ONEです。
UNI-ONEは歩行者と共存するポニーのような相棒となるロボットを作りたいと思い開発されたものです。
UNI-ONEは乗る人が姿勢の動きからその意図を汲み取り、自然な動きで反応を伝える。乗る人とロボットがループで繋がっているというコンセプトです。
自分で動こうとする力こそ人が生きる原動力になる。それこそがUNI-ONEの価値だと信じています。
UNI-ONEの事業としまして、目指す姿はボータレスな社会の実現でございます。
今までできなかったことが、UNI-ONEのテクノロジーによって、できることによって生活の可能性を広げていきたい。
UNI-ONEを通し家族や友人との外交遣いを増やし、社会参加の促進に繋げたいとおもっております」
※ ※ ※
UNI-ONEは、7年間の実証実験で集められた10万人のデータから高度な制御技術を開発することで、ぶつかっても安心な設計、まるで歩いているかのように手を繋いで移動できるモビリティとして、大阪万博などのイベントでも世代を超えたあらゆる人に体験されています。
その技術について開発責任者の小橋慎一郎さんは次のように話します。

「UNI-ONEを開発した目的は、自分の思いで自由に移動する喜びを提供することです。
そしてもう1つは、UNI-ONEを目的地で使ってもらいたいという思いです。
ホンダは、4輪、2輪を通して目的地までの安全で快適な移動を提供してきましたが、行った先の目的地で乗れるモビリティはまだご提案できていないとそこに気づきまして、実はそこには課題があります。
行った先で非常に長く歩くことが想定されると、そもそも外出自体を諦めてしまう。そんな声を、このUNI-ONEで解決していきたいという思いでございます。

1つはコアの技術になりますが、座ったまま体重移動だけで全方位に移動可能ということで、ハンドル操作やジョイスティック操作など一切不要です。これによって、自転車にまだ乗れない小さなお子様も、それから免許返納した高齢者でも、UNI-ONEなら自由な移動を実現できます。
そして2つ目は、目的地で使うということは、人混みの中で歩行者と共存ができないといけません。
通常のモビリティは、クルマもそうですけど、センサーをつけて人を“避ける”、そういう設計思想でございます。そうすると、人混みの中ではセンサーが働いて全く動けなくなってしまいます。
そこであえてUNI-ONEは、逆転の発想で人とぶつかっても安全な製作思想で作って、あえてセンサーをつけておりません。それによって、人混みの中でも自由な移動を実現、実証しております。
そして3つ目は島国、日本での課題、坂道に対応する技術です。
傾斜がかかっていても、平坦(な道)と同じように、UNI-ONEはバランスを取ります。
これによって、坂道の途中でのUターンみたいなのも安心してできますし、下り坂に関してはスピードが出ることなく、非常に安定した形で下ることができます。
これは、他のモビリティにはないUNI-ONEの差別化要素の1つかなという風に思っております。
UNI-ONEは、自転車のように人より速く移動することはできませんが、目的地の中で人と一緒に、会話しながら、もしくは手をつなぎながら、そういった移動をしながら、歩行の疲労度を削減できる、軽減できる。これが価値です。
実際我々の実証では、70%の疲労低減を確認しております。
そしてさらに、このUNI-ONEのバランス技術によって、映像酔いしづらいという利点を活かし、ARと組み合わせたような新しい体験ができます。ARをかけることで水中を移動しているような、デジタルの移動も提供できます。
このようにUNI-ONEとしては、テーマパークや観光地、ショッピングモールやアウトレットモール、こういった目的地で“動く歩道”の代わりとなる自由な移動を提供する、インフラモビリティロボットとして、販売を開始いたします。
中には施設の中で働いている方もいらっしゃいます。1日2万歩、3万歩とかなり、足に負担のかかる作業をされています。こういった方々に両手が使えるということを特徴に持つUNI-ONEを使ってもらうことで業務効率の向上も、実際に実証しております。
このように、今回UNI-ONEのターゲットとしては、目的地になりうる施設への導入で、価値としては、移動の疲労の軽減、それから、スタッフの業務効率の向上、そして車椅子の方がこちらに乗り換えることによって両手が使えるようになりますので、今までできなかった仕事ができるようになる。
そういった就労支援やARのような最先端な技術の導入による他施設との差別化、こういった形で、施設の価値向上に貢献できると考えております。
事業方針としては、個人販売はせずに目的地である施設の方に、法人販売を限定とさせていただきます。
単なる移動だけを提供するのではなく、導入施設が持っているコンテンツや、DXを連携した形でより快適な移動を一緒に提供していきたいと思っております」

実は2022年に開発段階のモデルに乗ったことのある筆者(くるまのニュース編集部員)ですが、市販車は当時の車両のような荒っぽさはなく極めてスムーズで、起動もスマートフォンのロック解除のような簡単な操作でOK。
開発者の小橋さんに聞いたところ、やはり当時の車両からすべてを作り直したとのことで、あまり“操作”しようと意識せず、目線を行きたい先に向け、“漕がなくていい一輪車”のようなイメージで上半身を前後左右に傾斜させると自然に動いてくれます。
発表会に参加した年齢や性別の異なる記者たちも皆さん見事に乗りこなしていました。
発表会の間に映された動画では、ホンダの創設者、本田宗一郎氏の「人に何かをお世話してやったということ。その技術によって人に喜んでいただくということこそ本当の技術でございます」というメッセージも流されましたが、UNI-ONEはまさにそうした可能性を秘めた新領域のモビリティといえるのかもしれません。
Writer: くるまのニュース編集部
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