長距離を走る「高速バス」に設置された「謎の小部屋」何のため? 内部は一体どうなってるの? 乗客は入れない“ヒミツの場所”の正体とは?
長距離を走る高速バスには「小部屋」が設けられているのですが、一体どのような目的で設置されているのでしょうか。
「謎の小部屋」何のため?
長距離を走る高速バスには乗客が入ることのできない「小部屋」が実は存在します。
あまり知られていないかもしれませんが、この小部屋は何のために利用されているのでしょうか。
真相に迫ります。

高速バスとは高速道路を利用して都市間を移動できるバスで、中には10時間以上かかる路線もあります。
ただし、そのような長距離を運転者が休憩もなくずっと運転することはできず、必ず休憩を取る必要があります。
そして、高速バスの小部屋は、運転者の休息や仮眠に利用される場所として用意されているのです。
小部屋がある場所はバスによって異なりますが、車両の後側や下側にあることが多く、後側の場合は車内から出入りできますが、下側は乗客の荷物入れの横付近にあって外から出入りできるようになっています。
小部屋の内部は、基本的には大人が足を伸ばして横になれるような広さが確保されているほか、枕や毛布といった寝具やエアコンも備わっています。
ただし、高さはバスによってまちまちで、かろうじて寝返りが打てる高さしか確保されていないケースもあれば、座ることができるものなどもあります。
小部屋の装備としては、読書灯やコンセント、ドリンクホルダーなど休憩に便利な設備が整っていたり、運転手とすぐに通話できるよう受話器があったりしています。
厚生労働省からは「改善基準告示」というものが告示されており、これは「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」を指しているものです。
ここには、バス運転者のみならずトラックやタクシー、ハイヤーといった自動車運転者に向けて、労働条件の向上を図るため、休息時間や拘束時間についての基準が記載されています。
2022年12月にはこの改善基準告示の見直しが行われ、拘束時間の上限や休息期間などが改正されました。
改善基準告示によると、バス運転者の連続運転時間は4時間を超えないものと示されていますが、高速バス運転者の場合は実車運行区間での連続運転時間は、おおむね2時間までとするよう努めなければならないとされており、1日の拘束時間は13時間を超えないものとし、もし延長する場合は最大拘束時間を15時間としています。
また、バス運転者が1台に2名以上乗務する場合は、最大拘束時間を延長することができるとしています。
延長できる条件として2つ挙げられ、ひとつは、運転者のために身体を伸ばして休息できる専用のリクライニング方式の座席が少なくとも1席以上確保されている場合は、最大拘束時間を19時間まで延長することができます。
もうひとつは、専用のリクライニング方式の座席に乗客から見られないようにするカーテンなどの目隠しが付いている場合や、車両内ベッドが設けられている場合で、最大拘束時間を20時間まで延長できます。
目隠しが付いたリクライニング式の座席と車両内ベッドは、最大拘束時間において同列に扱われていますが、やはりリクライニング式の座席とベッドでは疲れの取れ具合が異なります。
リクライニング式座席は腰に負担がかかりやすかったり、寝返りも打ちにくかったりするため血流が滞るなど、ベッドに比べて身体に負担がかかる可能性があります。
やはり、ベッドで完全に横になれる方が、リクライニング式の座席で横になるよりバス運転者にとって疲れが取れやすいでしょう。
※ ※ ※
高速バスに設けられている小部屋を利用して休息を取ることは、バス運転手の長時間労働を防ぎ、運転手の健康を守ることと乗客の安全を確保することの両点においてとても大切です。
高速バスに設けられている小部屋は、乗務員がしっかりと休憩を取り、安全運転をキープするために欠かせないものであり、高速バスを支える縁の下の力持ちといえるでしょう。
Writer: 奥彩花
京都府生まれ。車関係のライティングは学生時代から続けており、車に詳しくない方にも分かりやすく興味をもってもらえるような内容を心がけている。









































