「安すぎ!」225万円からのトヨタ「最新SUV」何が凄い? 全長4.6m“RAV4”サイズ×オシャ内装の「bZ3X」販売好調! まだまだ人気、中国で売れる理由とは

トヨタ bZ3Xは2025年3月6日に中国で発売されましたが、予約開始1時間で1万件を受注、アクセスが集中しすぎて予約サイトが一時接続不可能になるほどでした。2025年7月には6834台を販売しましたが、これは5月の4344台、6月の6030台に続いて前月の記録を2か月連続で更新した形となります。

トヨタ「bZ3X」、2025年7月に6834台を販売して記録更新

 トヨタ「bZ3X」は2025年7月に6834台を販売し、2か月連続で前月の販売記録を更新しました。

 bZ3Xは価格の安さや先進機能に注目が集まる話題の1台ですが、現状はどのようになっているのでしょうか。

トヨタ「bZ3X」、2025年7月に6834台を販売して記録更新
トヨタ「bZ3X」、2025年7月に6834台を販売して記録更新

 bZ3Xは2025年3月に中国で発売されたSUV(BEV)です。

 2023年4月の上海モーターショー2023にてコンセプトモデル「bZ FlexSpace Concept」が公開され、その翌年の北京モーターショー2024で量産モデルとして正式に「bZ3X」が発表されました。

 ボディは全長4600 mm x 全幅1850 mm x 全高1660 mm、ホイールベース2765 mmと、RAV4と同等のサイズ感です。

 駆動方式はニデック(旧・日本電産)製のモーターをフロントに配置する前輪駆動で、最高出力201 hp/最大トルク200 Nmを誇ります。

 グレードは「430 Air」「520 Pro」「610 Max」の3種類で構成、それぞれ駆動用バッテリーは容量50.03 kWh、58.37 kWh、67.92 kWh、一回の満充電で430 km、520 km、610 km(CTLCモード)を走れる性能です。

 エクステリアはオーソドックスなSUV形状を採用しており、比較的保守的な印象を感じさせます。

 このサイズのSUVにしては珍しくルーフ最後端が角張っており、小さめなサイズながらもしっかりとした存在感を演出していることがわかります。

 一方、コックピット周りは中国の最新トレンドを反映し、中央に14.6インチディスプレイを配置、センターコンソールには携帯端末の無線充電パッドやカップホルダー、収納ボックスを有します。

 また、物理ボタンはパワーウィンドウの操作やハンドル盤面上の簡素なスイッチ程度にとどまり、メディアやナビ、エアコンの操作はすべてディスプレイの中で操作します。

 最上位グレードでは電動格納リアゲートやメモリー機能付きパワーシート、後席用テーブル&カップホルダー、ヤマハ製11スピーカーシステムといった豪華装備を揃えています。

 bZ3Xはファミリー層を想定したSUVで、室内も広々とした空間を特徴としています。

 トヨタ bZ3Xは2025年3月6日に中国で発売されましたが、予約開始1時間で1万件を受注、アクセスが集中しすぎて予約サイトが一時接続不可能になるほどでした。

 3月16日にデリバリーを開始してから7月末までに約2万6000台を販売しており、これまでトヨタが中国で販売したどのBEVよりも大ヒットを記録しています。

 2025年7月には6834台を販売しましたが、これは5月の4344台、6月の6030台に続いて前月の記録を2か月連続で更新した形となります。

 地域別登録台数のデータを見ると、上位には広州トヨタのお膝元である「広州」や、その周辺の「佛山」「東莞」などの地域が目立ちます。

 これ以外にも「北京」や「上海」「杭州」「武漢」「重慶」「成都」といった「一線都市」に分類される大都市が名を連ねています。

 異例の大ヒットの裏には圧倒的なコストパフォーマンスが要因のひとつとして挙げられます。

 メーカー希望小売価格は10.98-15.98万元(約225.7~328.5万円)と、日本メーカーのBEVではかつてないほど安い値段です。

 この安さで中国のトレンドを反映させたインテリアや、自動運転ベンチャー「momenta」と共同開発した高度な運転支援機能、そしてトヨタ特有のバッテリーと車体に対する安全設計をすべて盛り込んでいます。

 中国では新たなブランドが乱立していますが、依然としてトヨタ車に対する高い信頼性のイメージは定着しています。

 トヨタはこれまでに「C-HR EV」「イゾアEV」「bZ4X」「bZ3」といったBEVを中国市場に投入してきたものの、中国メーカー並みの低価格は実現できておらず、BEV市場におけるシェアはそこまで高くありませんでした。

 また、価格以外にも内装の作りが中国のトレンドに沿っていないことも一因として挙げられていました。

 一方でbZ3Xは広州汽車との共同開発によって「低価格」と「最新トレンドの反映」両方を実現させながらも、トヨタ本来の良さである「信頼性」と「使いやすさ」も盛り込んだパッケージングとなりました。

 トヨタのbZ3Xのように、日産が2025年4月に発売した中国専売BEV「N7」も同じく大人気です。

 2025年7月には6455台を販売し、bZ3Xと一緒に合弁系EVの販売台数ランキングにおいてワンツーを独占しました。

 合弁相手との協業を通した現地開発がトレンドとなっている今、日本メーカーにとって巻き返しの時が訪れていると言えるでしょう。

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Writer: 中国車研究家 加藤ヒロト

下関生まれ、横浜在住。2017年に初めて訪中した際に中国車の面白さに感動、情報を集めるうちに自ら発信するようになる。現在は慶應義塾大学環境情報学部にて学ぶかたわら、雑誌やウェブへの寄稿のみならず、同人誌「中国自動車ガイドブック」も年2回ほど頒布する。愛車は98年式トヨタ カレン、86年式トヨタ カリーナED、そして並行輸入の13年式MG6 GT。

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