トヨタ「ルミオン」復活してた!? 全長4.4mの“ちょうどいい”サイズ&MTあり! 3列7人乗りの「“非スライドドア”ミニバン」海外仕様がスゴい! 日本投入の可能性は?
かつて、トヨタ「カローラ ルミオン」は日本で個性派コンパクトとして人気を博していましたが、その名が海外で復活を遂げました。しかし中身は全くの別物のようですが、どのようなモデルなのでしょうか。
全長4.4mのちょうどいいサイズ&MTあり!
2007年10月に発売され、2015年12月に生産を終了したトヨタ「カローラ ルミオン」は、多くのファンに愛された個性派コンパクトカーです。
その開発の原点は北米の若者向けブランド「サイオン」の「xB」にあり、当時の日本のカローラファミリーとは一線を画す、直線的で大胆な箱型のスタイリングが最大の特徴でした。

ボディサイズは全長4210mm×全幅1760mm×全高1630mm(1.8リッターモデルの場合)で、全幅が1700mmを超える3ナンバー枠のワイドなボディが異彩を放っていました。
パワーユニットには1.5リッターまたは1.8リッターのガソリンエンジンが設定され、後期型は1.8リッターエンジンがバルブマチック付きの「2ZR-FAE」型にアップデートされるなど、改良が重ねられました。
その「ルミオン」の名が、2021年以降に海外市場で復活を遂げました。主な展開国は南アフリカやインドといった新興国市場です。
しかし、この新しいルミオンは、日本の初代モデルとは全くの別物。その正体は、トヨタとスズキのグローバルな業務提携に基づき、スズキが開発・生産する3列シート7人乗りMPV「エルティガ」をベースとしたOEM供給車です。
海外で販売される最新ルミオンの最大の特徴は、3列シート7人乗りの実用的なパッケージングです。ただし、後席ドアは日本のミニバンでは定番のパワースライドドアではなく、一般的なヒンジ式ドアが採用されています。
ボディサイズは全長4420mm×全幅1735mm×全高1690mm、ホイールベースは2740mm。トヨタのコンパクトミニバン「シエンタ」よりやや大きいモデルです。
パワーユニットもスズキ製で、1.5リッターガソリンエンジン「K15B」またはマイルドハイブリッド付きの「K15C」を搭載。インド市場には、燃料費に敏感なニーズに応えるCNG(圧縮天然ガス)仕様も存在します。
トランスミッションも市場ごとに最適化されており、5速MTのほか、南アフリカ仕様では4速AT、インド仕様ではより現代的な6速ATが採用されました。
インド仕様の価格は約104万4000ルピー(約186万円)からと一見魅力的ですが、この価格は日本の同クラスの車両が備える先進安全装備や快適装備(パワースライドドアなど)を省くことで実現された、新興国向けの戦略的な価格設定によるものです。
では、この海外版ルミオンが日本市場に導入される可能性はあるのでしょうか。
結論から言えば、その可能性は極めて低いと言わざるを得ません。決定的な理由は、絶対的王者であるトヨタ「シエンタ」との製品力の差にあります。
第一に、サイズと装備が異なります。シエンタが日本の道路環境に最適化された全幅1695mmの5ナンバーサイズなのに対し、ルミオンは1735mmの3ナンバーサイズです。また、日本のファミリー層に必須ともいえる両側パワースライドドアも備えていません。
第二に、燃費性能と基本設計の差です。シエンタのハイブリッド車がWLTCモードで最大28.8km/Lを達成する一方、ルミオンには同等の高効率なハイブリッドシステムがありません。
これは、シエンタがトヨタ最新の「TNGAプラットフォーム」を採用しているのに対し、ルミオンのベースはスズキの「ハーテクト」プラットフォームであるという、世代間の技術的な差にも起因します。
そして最後に、そもそもベース車であるスズキのエルティガ自体が日本で販売されていないという事実です。これは、スズキ自身が日本市場での勝算が低いと判断していることの強力な裏付けとなります。
※ ※ ※
海外版ルミオンの日本導入は非現実的ですが、初代ルミオンが持っていた「自分らしくいられる箱型スタイル」という精神性の真の後継者として、コンセプトカー「KAYOIBAKO(カヨイバコ)」が期待されています。
実際に、ジャパンモビリティショー2023で展示されたコンセプトカーのグリルには「bB+ CONCEPT」と表示されており、このモデルがかつての「bB」やルミオンの系譜に連なることを強く示唆しているといるでしょう。
Writer: 佐藤 亨
自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。


















































