「謎のクルマ」都内で目撃! セダン・SUV・ワゴン3台同時に現る!? カモフラ仕様のBYDモデル? 噂のPHEVか
BYDのPHEVが日本でテスト中!シール06、宋PLUS、初のワゴン登場。2025年末発売予定の注目モデルを徹底解説!
待望のBYD「PHEV」日本発売間近か? 都内でテスト中の3台をキャッチ! BYD初のステーションワゴンも登場!
中国「BYD」のPHEVが東京都内でテストしている様子が目撃されました。
いったいどのようなクルマなのでしょうか。

世界最大のEVメーカーである中国の「BYD」は2024年、全世界で427万2145台を販売、そのうち電気自動車(BEV)が176万4992台で42%、プラグインハイブリッド車(PHEV)が248万5378台で58%を占めます。2025年上半期では前年同期比33.04%増の約214.6万台を記録しました。
BYDは2023年1月から日本でも乗用車を販売しており、2025年6月末時点でこれまでに5305台を販売しています。
現在はBEVのみの展開となっていますが、2025年末には日本向けに販売するPHEVを、2026年後半には日本市場専用設計の軽規格BEVも投入予定で、他メーカーよりも日本市場に対する本気度を明確にしています。
そんな中、2025年8月に東京都内でBYD製PHEVが公道テストを実施している様子が目撃されました。
東京都内のコインパーキングに駐車されているのはセダン「シール06 DM-i」、SUV「宋PLUS DM-i(海外名:シーライオン6 DM-i)」、そしてステーションワゴン「シール06 ワゴン DM-i」の3台です。

シール06 DM-iは2024年に発売されたPHEVセダンで、日本でも販売されているBEVセダン「シール」と同じ「シール」ファミリーに属します。
ボディサイズは全長4830 mm x 全幅1875 mm x 全高1495 mm、ホイールベース2790 mmと、シールよりもホイールベースが130 mm短いながら、全長は30 mm長い形に。
パワートレインはBYD製1.5L直列4気筒エンジンを搭載、下位グレードは出力160 hp/トルク210 Nm、上位グレードは214 hp/260 Nmのフロントモーターを搭載。
また、搭載バッテリーもグレードで異なり、それぞれ10.08 kWh/15.87 kWhのBYD製リン酸鉄リチウムイオン電池となります。
2025年4月に開催された上海モーターショー2025ではステーションワゴンモデルも発表されました。
大まかな見た目はセダン版に準拠しているものの、ボディを引き伸ばしてリアハッチを取り付けているため、寸法は全長+20 mm、全幅+15 mm、全高+10 mmほど大きくなっています。
パワートレインは上位グレードのバッテリー容量を18.71 kWhに増量していますが、内装は延伸された荷物スペース以外で変更はありません。
中国では海外市場を見据えた自動車メーカーを中心に下火だったステーションワゴン再興の流れが到来しつつあり、BYDの本家ラインナップとしてもステーションワゴンが市販化されることは初の事例となります。

一方、シール06とシール06ワゴンに挟まれて駐車しているのはSUV「宋PLUS」です。
海外市場では複数の名前で販売されており、欧州ではシールのSUV版ポジションとして「シールU」、東南アジアやオセアニアでは「シーライオン」シリーズの「シーライオン6」として展開されています。
宋PLUSは全長4775 mm x 全幅1890 mm x 全高1670 mm、ホイールベース2765 mmと、2025年から日本で発売された純電動SUV「シーライオン7」よりもひと回り小さいサイズです。
シール06と同じ1.5L直列4気筒エンジンを搭載する一方、モーターは全グレードでフロント配置の出力214 hp/トルク260 Nmを誇ります。なお、バッテリー容量は12.9 kWh/18.3 kWh/26.6 kWhの3種類から選択可能となります。
シールやシーライオンはBYDが展開している2つの商品群「王朝シリーズ」「海洋シリーズ」のうち、後者に属します。
海洋シリーズでは文字通り海洋関係の車種名が名付けられており、海洋的なエッセンスを取り入れたエクステリアデザインも特徴のひとつです。
東京都内でテストしている車両は青を基調としたカモフラージュに身を包んでいますが、これは広東省深セン市にあるBYD本社周辺でよく目撃されている中国本国のテストカーと同じカラーリングです。
日本でのシーライオン7発売前に日本国内で目撃されたシーライオン7のテスト車両はこういったカモフラージュが施されていなかったので、どのような違いがあるかが気になる点です。

また、テスト車両は3台とも右ハンドル仕様になっているのも特筆すべき点です。
「宋PLUS」の右ハンドル仕様はすでに左側通行の国で販売されていることから割と普通ですが、一方でシール06の2台は右ハンドル仕様が設定されているどころか、中国国外での販売すらされていません。
このような経緯もあり、実際にシール06が日本で発売されるかどうかはさておき、右ハンドル仕様車が製作されたという事実だけで十分に大きなニュースです。
それぞれの車両を詳しく観察すると、コックピット周りのボタン類はすべて海外仕様となっているほか、リアに取り付けられたエンブレムは「宋PLUS」が「シーライオン6」、そして「シール06」が「シール6」になっていることが確認できます。
中国で「0#」のように数字が付与されている車名は海外市場で「0」が外されて展開されるため、この3台はリアのエンブレムまでもが海外仕様になっていることがわかります。
また、車名エンブレム以外にはPHEVであることを表すエンブレムも取り付けられていますが、シール06の2台も「DM-i」であるにも関わらず、エンブレムは「DM」表記だったのが気になる点です。

中国での販売価格は宋PLUSが13.58-17.58万元(約277.5-359.2万円)、シール06のセダンが9.98-13.98万元(約203.9-285.6万円)、そしてシール06のワゴンが10.98-12.98万元(約224.3-265.2万円)となります。
仮に日本で販売されるとなれば、これまでの傾向からしてトップグレードが投入されると推測できます。
価格は中国本国と比べて50〜60万円前後ほど高くなるものの、競争力を鑑みて宋PLUSは450万円前後、シール06は350万円以内に収まる価格設定になるかもしれません。
日本でもPHEV車種はここ数年でじわじわと増えており、セダンやSUVでは多くの選択肢から選べます。
一方でステーションワゴンに関してはパワートレイン限らずそもそものモデルが少なく、日本メーカーからはトヨタ「カローラツーリング/カローラフィールダー」、スバル「レヴォーグ」、そのほかはすべて輸入車となります。
なおかつPHEVともなるともっと幅は狭まりますので、仮にBYDがPHEVワゴンとして日本にシール06のワゴン版を投入したら密かな注目を浴びるはずです。
それと同時にワゴン需要はかなりニッチなので、販売の中心はやはりSUVが担うことでしょう。
BYDは2025年中に日本向けにPHEVを導入すると発表しており、この3車種の中だとまずは「宋PLUS(シーライオン6)」が先に登場すると予想されます。
Writer: 中国車研究家 加藤ヒロト
下関生まれ、横浜在住。2017年に初めて訪中した際に中国車の面白さに感動、情報を集めるうちに自ら発信するようになる。現在は慶應義塾大学環境情報学部にて学ぶかたわら、雑誌やウェブへの寄稿のみならず、同人誌「中国自動車ガイドブック」も年2回ほど頒布する。愛車は98年式トヨタ カレン、86年式トヨタ カリーナED、そして並行輸入の13年式MG6 GT。


































































