1リッターで「100km」走る! めちゃ低燃費な「斬新スポーツカー」がスゴイ! 全長3.9mの“超軽量ボディ”に「2気筒ターボエンジン」搭載! ちゃんと“市販化”も果たしたドイツVWの「XL1」とは!
フォルクスワーゲン(VW)は、わずか1リットルの燃料で100Km走るクルマを市販化していました。
1リッターで「100km」走る「斬新スポーツカー」がスゴイ!
多くの人にとって、「燃費」はクルマを選ぶ際の重要な判断基準になります。
また現代はクルマの走行時の環境負荷についても、かつてなく厳しい目が向けられています。
このような時流の中、フォルクスワーゲン(VW)が「燃料1リットルで100km走れるクルマを造ってみせる」と生み出した、野心的なモデルが存在しました。

フォルクスワーゲンは、わずか1リットルの燃料で100Km走る「リッターカー」というコンセプトを2002年4月に提案。
こうして開発されたのが「L1」で、2009年に「フランクフルトモーターショー」で初公開されます。
2011年にはさらに進化させた「XL1」というモデルが発表され、これが2013年に市販化されることになりました。
少ない燃料で可能な限り長距離を走るために、XL1に搭載されたのは、800cc直列2気筒ターボディーゼルエンジンと電動モーター、リチウムイオン電池を組み合わせたハイブリッドシステムです。
また、トランスミッションには7速DSGを採用しています。
完成したXL1は、2人乗りのハイブリッドクーペとなっており、ボディサイズは全長3888mm×全幅×1665mm×全高1153mmと、非常に平たいクルマになりました。
レトロフューチャー感あるエクステリアデザインは今でも十分に通用するもので、XL1の特別感を醸し出しています。
そして特筆すべきは、車両重量が「約795kg」しかないこと。
この軽量ボディを実現するため、モノコック構造のボディには炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を採用。これが航続距離を伸ばすのに一役買っています。
さらに驚くのは、空力性能を追求したフォルムを徹底したことで、「Cd値 = 0.189」という驚異的な数字を叩き出していることです。
ホイールカバーにくわえてリアホイールにフェンダーカバーを装備するなど、非常に滑らかなボディーラインを実現する工夫が、燃費向上の一助となっています。
このようにして「軽油1リットルで100km走らせる」という課題にエンジニアが取り組んだXL1は、燃費性能「0.9L/100km」を達成。
分かりやすく1リットルに換算すると、約111km/Lですから、当初の目標を見事にやり抜いたといえるでしょう。
このXL1は非常に特殊なフォルムのクルマでもあります。
まず運転席・助手席のドアは上に開き、ドアミラーもリアウインドーもありません。
とにかくクルマを重くするパーツは徹底的に削減しており、これも航続距離を伸ばすための工夫の一つです。
「ではどうやって左右を確認するのか?」というと、ドアにはカメラが設置されており、ドアの内側に設けられたモニターで左右と後方を確認します。
つまりXL1は、現代のクルマに見られる「ミラーレス」をかなり先取りしたクルマでもあるのです。
そしてXL1は約250台のみが生産され、販売されました。
商売目的と言うより「メーカーの技術力を示すショーケース」的な意味合いの強いモデルですが、それでも技術の到達点を示したという意味で、歴史に残るとても意義深い1台だといえるでしょう。
Writer: 大西トタン@dcp
(株)デジタル・コンテンツ・パブリッシング所属の編集者・ライター。幼少期に父親と一緒に灯油でエンジンのプラグを磨いたのをきっかけに車好きになる。学生時代はレーサーを目指しカートに挑むも挫折。現在は磨いた腕と知識を武器に自動車関係の記事をメインに執筆。趣味は週末に愛車フリードでのグルメ自販機巡り。




















