ホンダの新BEV「S7」を徹底試乗! 質は高いのに中国市場で苦戦する理由は? 斬新デザイン採用したS7の魅力と課題【試乗記】

いざ「S7」に試乗! どんな印象?

 肝心の乗り味は抜群に良く仕上がっています。

 ホンダは「イェ」シリーズを「運転の楽しいBEV」として展開していますが、その思想通り、S7/P7の重量配分は前後50:50を実現。

 そしてサスペンションは前・ダブルウィッシュボーン、後・マルチリンクという本格的な組み合わせです。

 AWDモデルではこれに470 hp/770 Nmという性能が組み合わさるので、ちょっとしたスポーツカー気分が味わえます。

 実際に運転してみても、足回りの硬さはスポーティな雰囲気を感じさせる硬さで、街乗りレベルでも操る楽しさを実感できました。

 S7/P7の完成度は非常に高い一方、販売は不調です。

 発売から3か月経過した2025年6月の販売台数は東風ホンダのS7が54台、広汽ホンダのP7が166台という悲惨な状況を記録しました。

 この不調の裏にはあまりにも高い販売価格が一因として挙げられます。

 S7/P7どちらもRWDモデルが19.99万元(約414.3万円)、AWDモデルが24.99万元(約517.9万円)から販売されています。

ホンダが中国市場で展開する「S7」果たして試乗した印象は?(撮影:加藤博人)

 しかし、中国では同じ値段でよりボディサイズが大きく、LiDARユニットによる高度な運転支援機能も搭載し、なおかつ内装がより先進的なBEVの選択肢はたくさんあります。

 特に中国の消費者が重視しがちな運転支援機能においてはS7/P7もレベル2のものを搭載していますが、そもそもの対応機能が少なかったり、合流車線での自動流出入や車外からの駐車操作、自動駐車アシストといった高度な機能はオプション装備だったりと、魅力に欠けます。

 例えば、中国で人気のハンズオン運転支援「NOA(Navigation on Autopilot)」も、月間6000台を販売するヒット作「トヨタ bZ3X」では市街地と高速道路両方で対応する一方、S7/P7では高速道路のみ、それもオプションで追加する形です。

 どんなに「運転する楽しさ」という設計思想をアピールしたとしても、中国の消費者が求める要素を盛り込んでいなければ、中国では売れないということをS7/P7は証明しています。

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Writer: 中国車研究家 加藤ヒロト

下関生まれ、横浜在住。2017年に初めて訪中した際に中国車の面白さに感動、情報を集めるうちに自ら発信するようになる。現在は慶應義塾大学環境情報学部にて学ぶかたわら、雑誌やウェブへの寄稿のみならず、同人誌「中国自動車ガイドブック」も年2回ほど頒布する。愛車は98年式トヨタ カレン、86年式トヨタ カリーナED、そして並行輸入の13年式MG6 GT。

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