日産新型「エルグランド」登場へ! 1.5Lハイブリッド搭載した“背が高い”高級ミニバンに進化、26年度発売! 約500万円&NISMO新設定で「アルファード」に対抗も!? 次期型どうなる?
1.5リッターターボ×e-POWER搭載!
■現行モデルの反省その3:ミニバンでは室内高が乏しく3列目の座り心地も不満だった
前述の全高1815mmに抑えたことと関係するのが、ミニバンでは室内高が低めということ。室内高の数値も1300mmで、アルファードの1360mmを下まわり、エルグランドは頭上の空間が少々窮屈です。
また室内高が足りないため、3列目シートに座ると床と座面の間隔も狭く、足を前方へ投げ出す座り方となり、ラージサイズミニバンなのに、3列目があまり快適ではありません。

新型モデルは、全高を1900mm前後に設定することで、頭上の空間に余裕を持たせます。3列目の床と座面の間隔も広がり、着座姿勢も改善。多人数乗車時の快適性を向上させます。
■現行モデルの反省その4:3列目の格納方法と荷室の使い勝手が不評だった
現行エルグランドの3列目は、背もたれを前側に倒して格納します。格納時には、広げた荷室の床が3列目のために持ち上がって荷室高が不足し、3列目を格納して大きな荷物を積みたいユーザーには不便です。
新型モデルの3列目シートは、アルファードなどと同様に、一般的な左右跳ね上げ式に改めます。広げた荷室の床が下がり、荷室高にも余裕が生まれます。
■現行モデルの反省その5:ハイブリッドが用意されていない
現行エルグランドのエンジンは、2.5リッター直列4気筒ガソリンと3.5リッターV型6気筒ガソリンを搭載していますが、現在ミニバンではハイブリッドの搭載が常識となっているなか、エルグランドでは選べません。これも販売が低迷する要因です。
そこで新型エルグランドは、ハイブリッドの「e-POWER」搭載車となり、ガソリンエンジンを廃止。
しかも新型エルグランドのe-POWERは、設計が最も新しい第3世代となり、発電用の1.5リッターターボエンジンは、燃焼効率の優れた一定の回転域を保つことで、燃費を向上させます。
ただし速度やアクセル操作とは無関係にエンジン回転数が一定に保たれると、ドライバーや同乗者に違和感が生じるので、新型エルグランドの第3世代e-POWERは、ノイズを徹底的に小さく抑えて、発電用エンジンを意識させないように開発し、運転感覚を電気自動車(EV)に近付けると言います。
駆動用リチウムイオン電池にも十分な容量を持たせます。発電用エンジンが効率の優れた一定の回転数で回り続けると、低回転域を使わないため、走行状態によっては過剰な発電が行われます。それを余裕のあるリチウムイオン電池に蓄えて、エンジンを停止させて走る距離を伸長させます。
なお一定の回転数で回すため、すでに「エクストレイル」に搭載されているe-POWERとは異なり、1.5リッターターボエンジンに圧縮比を変化させる機能は装着されません。そのためにコストを抑えられます。
WLTCモード燃費は不明ですが、ライバル車を見ると、アルファード&ヴェルファイアハイブリッドの2WDが17.5~18.9km/L、ホンダ「オデッセイ」のe:HEVは19.6~19.9km/Lです。そうなると新型エルグランドは、20km/Lを目指すでしょう。
新型エルグランドで気になる価格は、ベーシックなグレードが約500万円で、機能を充実させた主力グレードは600万円前後になることが予想されます。
現行モデルでは2.5リッターガソリンエンジンを搭載するエントリーグレードの「250ハイウェイスターS」が408万2100円で用意されますが、これに比べると少なくとも約100万円は値上げされることになりそうです。
新型エルグランドにとって辛いのは、2025年1月に、アルファードが「ハイブリッドX」を比較的安価な510万円で追加したことです。
2列目がベンチシートのみの実用的なグレードですが、安全装備などは充実しており、法人ユーザーを含めて需要が多いです。
新型エルグランドもこのアルファード ハイブリッドXを無視できず、500万円前後のグレードを用意し、その上で、アルファードの「ハイブリッドZ」(635万円)に対抗する主力グレードを600万円前後に設定するでしょう。
さらに新型エルグランドでは、スポーティな「NISMO」、質感を高めたプレミアムな「AUTECH」などの派生モデルも用意。
経営状況が悪化している日産では、トヨタと違って車種を豊富にそろえることはできず、そこでグレードの数を増やして選択肢を充実させるという方法を取ることになります。
※ ※ ※
思い返せば、初代エルグランドが登場した1997年は、日産の経営悪化が表面化した時代でした。その中で初代エルグランドは好調に売れて、日産の国内販売を支えました。
4代目となる新型エルグランドも、リストラを迫られる今の日産を窮地から救ってくれるでしょう。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。


















































