全長5.4mで排気量は6.2リッター!? “何もかもがデカイ”超高級SUV「エスカレード」実際どう? 実は燃費良いってマジ? キャデラックの「フラッグシップ」どんなクルマ?【試乗記】
アメリカの高級自動車ブランド「キャデラック」。そのフラッグシップモデルが「エスカレード」です。今回はそんな同車の最新モデルに試乗する機会を得ましたので、レポートします。
デ、デカイ! 何もかもがビッグな「エスカレード」実際どう?
アメリカの高級自動車ブランド「キャデラック」。“アメ車”好きなら一度は憧れるであろう同社のフラッグシップモデル「エスカレード」の最新モデルに試乗する機会を得ました。
全長は5.4m、排気量は6リッターを超え自動車税は最も高い11万1000円…などなど国内で販売されるクルマとしては“規格外”とも言えるエスカレードですが、どのようなクルマに仕上がっているのでしょうか。“アマチュア目線”でレポートします。

エスカレードは、フォードが展開したリンカーン「ナビゲーター」の成功を受けて、その対抗馬としてゼネラルモーターズの高級ブランド「キャデラック」から1999年に登場したフルサイズSUVです。
初代モデルは、GMC「ユーコン デナリ」をベースに高級感を高め販売されるも1年で販売が終了。その2年後の2002年に登場した2代目モデルが登場しヒットし、アメリカン・ラグジュアリーSUVの象徴的存在になりました。
現行モデルは、2020年に登場した5代目。内外装の刷新に加え、業界初となる湾曲OLEDディスプレイを搭載するなど、大幅な進化を遂げました。
現在販売されるのは、この5代目のマイナーチェンジモデルで、日本では2025年5月に発表されたばかりです。そんな最新の新型エスカレードに今回試乗しました。
まず新型エスカレードに対面するとやはり「デカイ…」と唖然とします。今回お借りしたエスカレードはプラチナムという高級感漂うグレードで、膨張色な白のボディカラーも相まって異様な迫力を感じる大きさです。
実際、ボディサイズは全長5400mm×全幅2065mm×全高1930mmと“超巨大”と言えるサイズで、日本で正規購入可能な輸入車としては最大級のモデルです。
国産車(かつ国内で販売される)で最大級のSUV“レクサス「LX」”が全長5100mm×全幅1990mm×全高1885-1895mmであることや、一般的に大きいと言われる“トヨタ「ランドクルーザー300」”が全長4950-4985mm×全幅1980-1990mm×全高1925mmであることからも、エスカレードのサイズの“異常さ”が伝わってくるかと思います。

エクステリアの迫力もケタ外れです。キャデラックブランド初のEV「キャデラック リリック」から採用されたキャデラック最新のデザイン言語を反映したというフロントフェイスは、巨大なヘッドライトが際立つ迫力あるデザインに刷新され、押し出し感を高めているほか、24インチという通常のクルマでは考えられないほど巨大な大径ホイール(オプション設定)が圧倒的な存在感を支えます。
重厚で大きなドアを開けると、ゆっくりと電動サイドステップが展開されます。大柄なSUVならではこの演出も所有欲を高めてくれます。
よじ登るように車内に入ると、まず目に飛び込んでくるのは巨大な湾曲型の55インチHDカーブド フロント ディスプレイ。そしてそれと助手席用画面がシームレスに繋がり、フロントダッシュボード全体に画面が広がります。
またその下には巨大なウッドパネルが採用されています。現代のクルマには珍しいこの演出が、高級感を高め、ドライバーの満足感を底上げします。
ちなみに助手席正面の画面は、普段は「ESCALADE」のロゴが表示されるのみですが、乗員が座るとコンテンツを表示可能になり、運転席側からは覗けないように黒く見える仕様になります。
視点をセンターコンソールに移すと、こちらもモニターが配され、エアコンや、シートのマッサージ機能、はたまたグローブボックスの開閉まで、ほとんどの操作がこのモニターで可能になっており、物理的なボタンはほとんど廃されています。
残る物理ボタンもその殆どが静電タッチ式で、擬似的にクリック感を演出してくれますが、表面自体はフラットで、人によっては好みの分かれるような仕上がりです。
後席もフルサイズSUVならではの“ミニバンのような”広大な空間が広がります。配されるキャプテンシートや、ドアパネルの演出も見事なもので、後席に座るユーザーの“成功者感”を演出してくれます。
運転席に戻って、エンジンをかけると、こちらも現代には珍しい大排気量6.2リッターV型8気筒エンジン(最高出力416PS・最大トルク624N・m)が厳かに轟きます。ちなみにリアハッチに備わる”600”のエンブレムは、「最大トルク600Nm超え」を表すエンブレムだそうで、排気量や馬力ではない珍しい表記もアメリカらしい演出です。
少しアクセルを踏み込むと余裕のトルクで滑らかに約2.8トンの巨体を発進させます。さらに踏み込むと、V8らしい心地よいエンジン音とともに、変速を感じさせない10速ATが、気づかないうちに高速域へといざないます。
今回新東名高速道路を含め、多くの区間を高速でクルージングしましたが、その燃費は120km/h区間で8.8km/L、100km/h区間で10.8km/L(ともにメーター表示)と巨体×大排気量エンジンとは思えない“省燃費性能”を叩き出します。
これは、クルージングなどの低負荷時には8気筒のうち4気筒または6気筒を休止させるダイナミックフューエルマネジメントが採用されている影響が大きく、イメージとかけ離れたエコ性能が実現されています。しかし、下道では、従来通り8気筒がフル活用される場面も多く、都内では5〜6km/Lとなってしまうのは、御愛嬌といったところでしょう。
運転しているとやはりその“デカさ”を感じざるを得ません。筆者(編集部員B)は普段「ランドクルーザー250」に乗る機会が多いのですが、比較的大きめのランドクルーザー250がコンパクトSUVのように思えてしまう程です。
乗用車ではトップクラスの着座位置が“愉悦”と“視界”をもたらしてくれるのはいいのですが、その反面デザインが流麗になっているため、右側前端(左ハンドルなので…)が把握しづらく、車幅感覚になれるまでに時間を要します。
とはいいつつも、クルマの周囲360度を精巧に映し出すアラウンドビューモニターがついていて、走行中も起動可能なので、自分のポジションをカメラで把握しやすく、車幅感覚になれるのにそこまで時間は有しません。個人差はあると思いますが、約5.4m×2mの巨体を加味すれば比較的扱いやすいとまで言えるかもしれません。

実際郊外はもちろん都内でも、“多少道を選べば”苦労することはありませんでした。しかし駐車場選びにはかなり苦労します。“全く停められない!”というほどではないので、ここは“デカイクルマに乗る者”の義務として、しっかり事前調査を行うしかありません。車高短のクルマやスーパーカーに乗るのと同じです。
乗り心地自体は、重量級のSUVらしく、ゆったりとした“クルーザーのような”乗り味で、快適そのもの。少し荒れた路面や継ぎ目で剛性感の物足りなさを感じる瞬間はありますが、セダンやスポーツカーではないので、ある程度は許容するしかありません。
先進安全装備は、アダプティブクルーズコントロールや、ブラインドゾーン ステアリングアシスト+サイドブラインドゾーン アラートなどの基本的な機能は備わっており、現代のクルマ相応の仕様となっているほか、夜間運転時に前方の歩行者や動物を赤外線センサーが検知する「ナイトビジョン機能」というユニークな機能もついており、アメリカらしい一面も見せてくれます。
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そのサイズ感はどうあっても隠しきれませんし、限りなく抑えられつつも大排気量による経済的な負担は否めないのがエスカレードです。ですが、乗っているときの愉悦感や、V8ならではのサウンドと乗り味は、他のクルマでは絶対に味わえない感覚です。
価格(消費税込み)も1890万円から1950万円と高額ですが、それを払ってでも乗る価値のある一台に仕上がっていることは間違いありません。
ちなみに最後に、手洗い洗車と給油をして返却しましたが、98Lもある燃料タンクにハイオクを入れれば、余裕で1万円超え…手洗い洗車も1万1000円(スタンドによって異なると思いますが…)とこちらも大迫力の金額。エスカレードを買われる方は、“超高級車”であることをしっかり理解して、エスカレードと付き合う必要があります。
Writer: くるまのニュース編集部
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