サーキット育ちは伊達じゃない! アプリリアのフラッグシップ「RSV4RF」
「RSV4RF」は、数々のレースで勝利した経験から投入される最新技術も一切妥協せず、もっともレーシングマシンに近いアプリリアの量産車です。
レースの世界で培われた技術を反映させた
レースありきのヨーロピアンバイクメーカーの中でも、ズバ抜けた戦績を誇っているのがイタリアのアプリリアです。スクーターからデュアルパーパスまで様々なモデルをラインナップしていますが、ここではその象徴とも言えるスーパースポーツ「RSV4 RF」を紹介しましょう。
2009年にデビューしたRSV4シリーズは、およそ2年毎のモデルチェンジを経て進化。現行モデルの末尾に付く「RF」は「Racing Factory」を意味し、フラッグシップの役割を担っています。
「RSV4シリーズは市販車で争われるスーパーバイク世界選手権のために開発されたモデルで、発売された2009年から参戦を始めて2年目に早くも王座を奪取。これまで獲得した計7つのタイトル(ライダータイトル3回/メーカータイトル4回)がポテンシャルの高さを証明しています」と、アプリリアを取り扱うピアッジオグループジャパンの河野僚太さんがその性能の一端を説明してくれました。
日本のレースシーンではまだ少数派ですが、本場ヨーロッパでは大きな勢力を築いているのがアプリリアというメーカーなのです。
「世界グランプリ(現MotoGP)やスーパーバイク世界選手権の他、オフロード、スーパーモタードといった分野でも成功しており、これまでに収めた勝利数は100を優に超え、獲得した世界タイトルは54に達しています。この数字はヨーロピアンメーカーとしては最多のもので、もちろんそこで培われたノウハウが製品へと反映されているのです」と河野さん。
実際、RSV4 RFにまたがるとそれを感じます。2055mmの全長は1000ccクラスのスーパースポーツ中、最もコンパクトな部類に属し、車幅もスリムそのもの。静的な状態でも伝わっている「カチッ」とした剛性感には、確かにサーキット育ちの素性が感じられます。
とはいえ、エンジン特性そのものはまろやかです。65度のシリンダーバンク角を持つV型4気筒には並列4気筒のようなガツガツした激しいフィーリングがありません。「ドゥルルル~」と丸みのあるサウンドをともないながら吹け上がっていくため、ストリートでも扱い難さは皆無。最高出力が201psに到達すると聞けばかなりのプレッシャーでしょうが、むやみにスロットルを開けなければ電子デバイスの効果も手伝って洗練されています。