トヨタ「アルファード“オープンカー”」!? “ながーーい”ボディ&“超豪華”内装の「エルキュール」! 鉄仮面フェイス採用の「陸のクルーザー」どんなモデル?

2015年、トヨタは高級ミニバンの常識を覆す、前代未聞のコンセプトカーを発表しました。その名は「アルファード エルキュール」。屋根を大胆に取り払ったオープン仕様のこのクルマは、いったいどのような目的で創られたのでしょうか。

陸のクルーザーと呼ばれた、唯一無二のアルファード

 2015年の東京モーターショーで、トヨタは「What wows you?(あなたの心を動かすものは何ですか?)」というテーマを掲げ、人々の感情に訴えかけるクルマづくりを鮮明に打ち出しました。

 そのテーマに対する最も過激で大胆な表現としてトヨタ車体が世界初公開したのが、「アルファード エルキュール コンセプト」でした。高級ミニバンの常識を覆し、屋根のないオープンカーへと変貌させたのです。

まさかのアルファードオープン!
まさかのアルファードオープン!

 そのコンセプトは「オープンクルーザー」。南欧のヨットハーバーへ向かう途中に潮風を感じながらシャンパンを愉しむ、という情景がテーマとされました。エクステリアには専用デザインのフロントグリルや、マリンブルーとホワイトのツートンカラーを採用。全長はベース車より300mm以上も長い5265mmにまで延長され、優雅で伸びやかなヨットのようなシルエットを実現していました。

 インテリアは、まさに「陸のクルーザー」の名にふさわしい豪華絢爛な空間が広がっていました。床にはヨットのデッキを思わせる木目調のフローリングが採用され、室内は白を基調としたカラーで統一。

 シートレイアウトも常識を覆すもので、助手席を完全に撤去し、その空間を利用して2列目のエグゼクティブラウンジシートが驚異的な超ロングスライドを実現していました。

 さらに3列目シート部分は、後方を向いたコの字型の「ラウンジソファ」へと変更され、格納式のローテーブルとシャンパンセラーまで装備されていました。乗車定員は、ベース車の7人乗りから贅沢な5人乗りに変更されています。

 パワートレインに関する公式発表はありませんでしたが、その豪華なコンセプトから、ベースとなった3代目アルファードの最高出力301PSを発生させる3.5リッターV型6気筒ガソリンエンジンが搭載されていた可能性が最も高いと推察されます。

 これほど作り込まれたエルキュールでしたが、市販化はされませんでした。その理由は、技術的・市場的な側面に越えがたい障壁があったためと思われます。

 まず、ルーフやピラーを取り除くことは、クルマの骨格であるモノコックボディの剛性を致命的に低下させます。これを補強するには大幅な重量増とコスト増が避けられず、アルファード本来の快適な乗り心地は失われてしまいます。

 また、側面衝突や横転時の安全基準をクリアすることも極めて困難でしょう。さらに、「コンバーチブル・ミニバン」という市場カテゴリー自体が存在せず、仮に市販したとしても天文学的な価格となり、商業的な成功の見込みは極めて低かったのです。

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Writer: 佐藤 亨

自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。

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