台風15号接近! 運転中の「大雨リスク」どう備える? 冠水や水没の可能性も 「クルマで避難」は控えるべき? 知っておきたい「豪雨」遭遇時の行動とは
毎年夏から秋にかけてゲリラ豪雨に見舞われるだけでなく、台風の接近による局地的な豪雨にも備えておかなければなりません。では、クルマの運転時に豪雨に遭遇したら、どのような点に注意すればいいのでしょうか。
クルマで大雨に遭遇 どうする?
夏はいわゆるゲリラ豪雨だけでなく、台風の接近による局地的な豪雨にも備えておかなければなりません。2025年9月5日現在、台風15号が関東に接近しており、台風が去ったあとの大雨にも警戒が必要です。
では、クルマの運転時に豪雨に遭遇したら、どのような点に注意すればいいのでしょうか。

いわゆる「バケツをひっくり返したような雨」という表現がありますが、最近の大雨、ゲリラ豪雨がまさにこの表現にあてはまります。台風により、局地的に雨脚が強まることで、ゲリラ豪雨並みの雨量を記録することもあります。
毎年夏から秋にかけて、全国各地では非常に激しい雨となり、都心でも道路の冠水などが相次ぎました。
そうした大雨のなかでの運転はさまざまなリスクがあります。
1時間あたりの降水量が30mmを超える「激しい雨」の状態になると、タイヤの接地面に水の膜が張ったような「ハイドロプレーニング現象」が起こるとされ、50mmを超える「非常に激しい雨」の状態になると運転自体が危険だといわれています。
事実、1時間あたりの降水量が50mmを超える「非常に激しい雨」の状況でクルマを走らせると、ワイパーを最速にしても前が見えない状況となり、視界が著しく不良になります。
この場合、高速道路などでは通行止めになる可能性が極めて高く、土砂崩れが発生する可能性のある山間部の一般道路でも同様に通行止めになる可能性があります。
では、運転中に豪雨に遭遇した場合にどうすればよいのでしょうか。
まず大前提として「スピードを落として走る」ことが挙げられます。
大雨のなかでも、高速道路や国道などをハイスピードで走り去るクルマを見掛けますが、非常に危険です。先述したとおり、ハイドロプレーニング現象を引き起こす可能性があるからです。
ハイドロプレーニング現象では、クルマは水の膜を滑走した状態になり、ブレーキやハンドル操作が効かず、衝突事故に至る可能性があります。
もしハイドロプレーニング現象が起きてしまった場合は、急ハンドルや急ブレーキは厳禁です。水の膜が抜けたときに、タイヤが急にグリップ(接地力)を取り戻すことで、クルマの姿勢が急に変化し、横滑りしたりするためです。
また、スピードを落とすことで視界の確保にもつながり、道路の危険を想起発見することもできます。
もしスピードを落としても視界が不良な場合は、ハザードを点灯させて安全な場所に停車し、運転を取りやめて雨をやり過ごすことも必要です。
そして、油断ならないのが道路の冠水です。局地的な豪雨では、いつどこで道路が冠水するかわかりません。
では、冠水した道路を走行するとどうなるでしょうか。
国土交通省が令和元年11月に発表した「自動車が冠水した道路を走行する場合に発生する不具合について」によると、
「自動車が冠水した道路を走行する場合、水深が車両の床面を超えると、エンジン、電気装置等に不具合が発生するおそれがあります。また、水深がドアの高さの半分を超えると、ドアを内側からほぼ開けられなくなります」と記載されています。
豪雨の際、避難が必要な状況ではクルマを使いたくなりますが、状況によってはNGです。
冠水路に進入するとエンジンの空気取り入れ口に水が入り、エンジンが故障して立ち往生する可能性があるとともに、パワーウインドウやライトなどの電装品が浸水して、脱出できなくなる可能性があります。
また冠水で水深がわからず、そのまま進入したら予想よりも深い場合もあります。路面の状態もすぐに判別できず、障害物に気づくのが遅れたり、側溝やマンホールのフタが外れていて脱輪する可能性もあります。
アンダーパスやガード下、地下駐車場などは、特に水深がわからないため要注意です。
さらに氾濫した河川の近くなどで水流があれば、クルマごと流されることもあります。
こうした理由から、すでに路面の冠水が発生している場合や、避難が呼びかけられている場合はクルマを使うことを避けたほうがよいでしょう。
国土交通省は、「自動車は、水深が深い場所を走行できるように設計されていません。このため、大雨等の際には、早めの避難を心掛けることはもちろん、冠水した道路に安易に進入しないこと、冠水路で自動車が動かなくなった場合には早めに脱出することが重要です」としています。
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台風の接近だけでなく、局地的に猛烈な雨をもたらす「線状降水帯」が発生した場合などは、記録的短時間大雨情報や大雨特別警報が発令されます。
こうした場合は災害が発生する可能性が急激に高まったり、すでに災害が発生しているような状況が想定されます。
常に最新の気象情報を確認するとともに、クルマを運転する際もラジオなどをつけて最新情報を入手するように努めたほうが良いでしょう。
Writer: 松村透
株式会社キズナノート代表取締役。エディター/ライター/ディレクター/プランナー。
輸入車の取扱説明書制作を経て、2006年にベストモータリング/ホットバージョン公式サイトリニューアルを担当後、2013年に独立。フリーランスを経て株式会社キズナノートを設立。現在に至る。
2016年3月〜トヨタ GAZOO愛車広場連載中。ベストカー/ベストカーWeb/WebCARTOP他、外車王SOKEN/旧車王ヒストリア編集長を兼務する。

















