木の枝や葉で標識が見えない! 見落として違反になったら考慮されるのか

見えづらい標識、規制の正当性を争えるか

 道路交通法第4条では、公安委員会が政令の定めにもとづいて信号機や道路標識などによる交通規制を行うことができるとしていますが、その政令である道路交通法施行令は、次のように定めています。

東京都板橋区の「5本けやき」。国道254号のど真ん中に5本のケヤキが立つ(国土地理院の空中写真を加工)。

「都道府県公安委員会(中略)が信号機又は道路標識若しくは道路標示を設置し、及び管理して交通の規制をするときは、歩行者、車両又は路面電車がその前方から見やすいように、かつ、道路又は交通の状況に応じ必要と認める数のものを設置し、及び管理してしなければならない」(道路交通法施行令第1条の2、一部抜粋)

 刈谷弁護士によると、交通標識は「歩行者や車両がその前方から『見やすいように』設置・管理しなければならない」とされていることから、木の枝などに遮られている状況で設置された標識は、法令に則って適切に設置・管理されているとはいえず、これにもとづく規制自体の適法性が疑われるとのこと。この場合、取り締まりを受けたドライバーは、規制や取り締まりの正当性を争うことができると考えられるそうです。

「具体的には、当該の標識についてドライバーが主観的に見えなかった、見づらかったと主張するのではなく、客観的状況として『見やすいように』設置・管理されていなかったことを主張すべきでしょう」(刈谷弁護士)

 とはいえ、一度受け取ってしまった違反キップの取り消しを求めるのは相当に困難であると考えられるとのこと。刈谷弁護士は、「イザというときに現場で主張できるように、前出の道路交通法施行令の条文は覚えておいたほうがいいでしょう」と話します。

【了】

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