なぜ政府は国民を苦しめる? 税金取りすぎ&“ガソリン減税法案”は廃案に… 今後ガソリン価格はどうなる?

ガソリン減税(暫定税率)はどうなる?

 そもそも、ガソリン税の暫定税率は1974年に道路整備の財源、およびオイルショックによる原油価格高騰を補う一時的な措置でした。

 しかし、その後も道路整備の維持などを目的として継続されているのが実情です。ガソリンの暫定税率は25.1円/L。

 暫定税率廃止に向けては、与野党間で基本的な合意があるものの、廃止後の財源確保等や廃止の時期などについては意見が分かれている状況です。
 
 また、自動車の税金については、性能環境割、自動車税、自動車重量税について抜本的な見直しが2026年4月以降に実施される見込みで、それに向けて与野党や自動車業界での議論が高まっているところです。

 本来、ガソリン税も含めて、自動車に関わる税金のあり方全体を適正化するべきですが、足元での物価高を受けて、ユーザー視点では「まず暫定税率廃止でガソリン価格が下がってほしい」と思うのは当然でしょう。

 そこで、まずは「定額10円/L引下げ」という方法をとったというわけです。

 ところが、その仕組みが始まって1ヶ月もしないうちに、中東情勢が緊迫し原油価格高騰の危険性が高まり、前述のような実質170円台/Lていどを維持するという、補助事業に転換せざるを得なくなったのです。

 要するに、ガソリン価格の最大要因として、日本が海外からの輸入に頼っている原油価格に大きく左右されることに、今後も変わりはありません。

 その上で、暫定税率など税金のあり方を議論しているのです。

 そのため、仮に暫定税率が廃止されても、原油価格の高騰が続けば、国としては施策の名称がなんであれ補助制度によってガソリン小売価格を抑制するしか手がないと言えます。

イマイチよくわからない「ガソリン減税」とは(画像はイメージ/フォトAC)
イマイチよくわからない「ガソリン減税」とは(画像はイメージ/フォトAC)

 武藤容治・経済産業大臣は20日、閣議のあとの会見で「脱炭素などの流れを踏まえるとガソリン価格の支援をいつまでも続けるものではない」との考えを示したと報道されています。

 そうとはいえ、短期間にEVや燃料電池車が普及することは事実上、難しいでしょう。

 さらには原油に頼らないカーボンニュートラル燃料やバイオ燃料の開発が進んでいるものの、ガソリンに比べるとかなり割高なのが実状です。

 脱炭素の動きをスピードアップさせることは必要だとしても、当面の間、国はなんらかの補助によってガソリン価格上昇を抑制するしか手立てがないように思います。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。

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