約110万円! 国産“最安”級のスズキ「軽セダン」って何? 全長3.4mに「4人」乗れる「実用重視モデル」! 最安価「アルトA」の買い得度とは
スズキ「アルト」の最安グレード「A」は、車両本体価格で約110万円という驚異の低価格を実現したベーシックな軽乗用車です。その買い得度について考察します。
100万円少々で4人乗り乗用車が新車で買える!?
連日、物価高に関する報道を見聞きする今日この頃、車両価格が安いクルマに注目が集まっています。
その中でも、スズキのベーシックな軽「アルト」は、国内の新車のなかでも特に安い車両価格が光る1台です。

アルトは、1979年の初代以来、長年にわたり日本の軽自動車市場で確固たる地位を築いてきたモデルです。
現行型は、2021年12月に登場した9代目。初代以来続いてきた商用バン(4ナンバー)仕様の設定がなくなり、全車が乗用車(5ナンバー)となりました。
その中で「A」グレードは、最もベーシックなエントリーモデルとして位置づけられ、価格重視のユーザーや営業車需要に応える設定となっています。
2025年6月23日には一部仕様変更(マイナーチェンジ)を実施し、フロントグリル形状やリアバンパーなどの外装デザインを変更しました。
また、先進運転支援機能「スズキ セーフティサポート」には、信号切り替わりにも対応した「発進お知らせ機能」などを新たに標準装備化しています。
マイナーチェンジ版アルトAの車両本体価格(消費税込み)は、114万2900円(FF・CVT)で、従来(106万4800円)よりも8万円弱上がったものの、依然としてスズキの乗用車のなかで最も安い設定となります。
エクステリアは、やさしい丸みを帯びたフォルムが特徴です。
デビュー時のコンセプトは「日常になじむデザイン」。実用性を重視した控えめな造形となっています。
そして今回のマイナーチェンジでは、これまでの楕円形をモチーフとしたスタイルをそのままに、「充実感のあるデザインにリフレッシュした」といいます。
Aグレードに設定されるボディカラーは「ダスクブルー」「シルキーシルバー」「ホワイト」の3色。タイヤサイズは155/65R14で、14インチフルホイールキャップが装備されます。
ヘッドライトはハロゲン式でオートライト機能を搭載。ドアミラーは手動調整式で、電動格納機能は備えていません。
また他グレードの4WD車にはヒーテッドドアミラーが装備されますが、Aは省略されています。
インテリアはブラック基調で、ステアリングはウレタン製です。前席はヘッドレスト一体型のセパレートシートで、後席は一体可倒式。リアヘッドレストは装備されていません。
収納はグローブボックスやインパネトレー、ドアポケットなど基本的な装備が用意されています。収納については他グレードと同じ装備となっています。
快適装備は、エアコン(マニュアル式)、前席パワーウインドウ、電波式キーレスエントリー、パワードアロックなど最小限のものです。
運転席・助手席シートヒーターは4WD車に設定されるのみ。オーディオのみならずスマートキー、USBソケット、バニティーミラーといった装備も省略されています。
ただし安全装備はひと通り揃っており、衝突被害軽減ブレーキ(夜間歩行者検知対応)、後退時ブレーキサポート、誤発進抑制、車線逸脱警報、ハイビームアシストなどのスズキ セーフティサポートに加え、6エアバッグ(前席SRSエアバッグ+サイド+カーテン)を全車に標準装備しています。
パワートレインは660ccの自然吸気エンジン(R06A型)で、最高出力46PS・最大トルク55N・m。カタログ燃費は2WD車で25.8km/L、4WD車で23.8km/L(WLTCモード燃費)と、維持費の面でも高い効率を誇ります。
ただし上位グレードにはマイルドハイブリッド機構がプラスされ、さらにマイナーチェンジで空力効果のある「ルーフエンドスポイラー」を追加したことから、28.2km/L(FF)とさらに燃費が向上しました。これはガソリン車の軽でクラスNo.1の低燃費となります。
ボディサイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1525mmです。軽自動車としてはベーシックなセダン型と呼ばれるプロポーションで、室内空間も必要にして十分です。
室内長1960mm、室内幅1280mm、室内高1260mmと、実用性も高いレベルにあります。
そんなアルトAですが、実際に諸費用やオーディオ・ナビなどのオプション装備などを加えれば、総支払額は130万円を超えるでしょう。
さすがに「約110万円で新車を」とはいかないものの、この価格帯で最新の安全装備を搭載した新車の4人乗り乗用車を所有できる点は、やはり大きな魅力と映ります。
ライバル車としては、ダイハツ「 ミライース B“SA III”」(2WD・CVT:99万2200円)が挙げられます。
こちらは100万円をわずかに切った価格でさらにインパクトがありますが、モデル登場は2017年5月で、一部改良を経ているとはいえ、アルトよりもやや古い基本設計となります。
いずれにせよアルトAもほかのモデルに対しては十分に安く、2モデルともに「国産最安級」と位置付けて問題ないでしょう。
なおミライース B“SA III”もアルト A同様にもっともベーシックな仕様で、装備面も安全機能含めほぼ同等となっており、アルト Aの購入を検討するならあわせて見積もりを取り寄せ、比較してみると良いでしょう。
総じてアルト Aは、「新車でとにかく安く、最低限の装備で十分」という明確な目的を持つユーザーには、極めて理にかなった1台です。
ファミリーユースや長距離ドライブ、快適装備の充実を求める用途には向かないものの、通勤や買い物など日常の短距離移動における割り切りの良さは、同価格帯の中古車にも負けない魅力を放っています。
コストを抑えて新車を手に入れたいという人にとって、アルト最安グレードのAは「現実的な選択肢」となることでしょう。
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