ヤマハ「NIKEN」開発陣に聞いた コーナリングの楽しさをピュアに感じてもらいたい
トリプルエンジンも扱いやすく最適化、二輪で培った電子制御で走りも快適に
青木:搭載するエンジンはMT-09系の直列3気筒ですが、ナイケンではどのような特性にしましたか?
鈴木明敏さん(ヤマハ発動機株式会社パワートレインユニット パワートレイン開発統括部):クランク軸の慣性マスをおよそ18%アップして、低中速で扱いやすいようエンジンを最適化しております。
青木:トラクションコントロールやD-MODE(走行モード切替システム)は、二輪と変わらないのでしょうか。
八木俊紀さん(ヤマハ発動機株式会社PF車両ユニット コンポーネント統括部):二輪で培ってきたものをベースにモディファイ(一部変更)していまして、TCS(トラクションコントロール)や走行モードを選べるD-MODEを搭載しています。ナイケンは、フロントの安心感が高いので、それだけでライダーに余裕をもたらし、よりリラックスしてライディングが楽しめるはずです。A&Sクラッチ、滑らかなシフトアップを実現するQSS(クイック・シフト・システム)も採用しています。
青木:フロント二輪には専用の120/70R15のVレンジタイヤを採用していますが、このサイズに決定した理由は?
鈴木貴博さん(NIKEN プロジェクトリーダー:ヤマハ発動機株式会社モビリティ技術本部):タイヤは大きいほど走破性が高まりますが、慣性マスなども踏まえてバランスを考えたときにこのサイズが最適だとわかりました。ナイケンに装備するサイズをタイヤメーカーと共同開発し、グリップ性、耐摩耗性、ウエット性能を高い次元で確保しています。
青木:メリットの多いLMW機構ですが、今後これを採用したモデルはますます増えていくのでしょうか。
加藤 新さん(ヤマハ発動機株式会社MC事業本部):これからのことは言えませんが、我々は二輪とか三輪とか関わらず、やはりリーン(車体を傾ける)する乗り物の楽しさをピュアに楽しんでいただきたいと思っています。
「TRICITY125」(2014年発売)と「TRICITY155」(17年発売)に続くLMWの第3弾「NIKEN(ナイケン)」は、昨秋イタリア・ミラノで開催された「EICMA(国際モーターサイクルエキシビション)」にて展示され、18年中の発売も同時発表。大反響を得て今に至っていますが、いよいよヨーロッパから先行発売され、そして間もなく日本にも上陸予定です。
次回はなるべく早いうちに試乗記をお届けしたいと思います。きっと、車体をフルバンクしてコーナーを駆け抜ける歓びが詰まったレポートになるでしょう。ご期待ください。
【了】
Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。