【コマツ×トヨタ】水素で動く建設機械の未来 – カーボンニュートラルへの挑戦と移動給水素の可能性… トヨタ中嶋氏「日本で水素を掘り当てたい」夢語る
スーパー耐久 富士24時間レースにおいてコマツ×トヨタの取り組みが新たに明かされました。
「働くクルマ」のカーボンニュートラルへの道
建設機械大手のコマツとトヨタが、カーボンニュートラル実現に向けた新たな挑戦を始めています。
その鍵を握るのは「水素」。両社はそれぞれの知見を持ち寄り、建設現場という過酷な環境で働く機械の未来をどう描こうとしているのでしょうか。

スーパー耐久富士24時間レースで開催されたイベントでのトークセッションでは、コマツの常務執行役員CTO・草場泰介 氏と、トヨタの 取締役・副社長の中嶋裕樹氏が登壇し、その具体的な取り組みと未来への展望を語りました。
まず建設機械(以下建機)の現状について、草場氏は次のように話しています。
「コマツは建設機械、鉱山機械、林業機械、産業機械などの製造販売を行っており、いわゆる『働く車』のメーカーです。
今回、水素で動く油圧ショベルのコンセプトマシン(20tクラスの油圧ショベル)を展示させて頂いております。
最高速度はなんと時速5.5km。いわゆるクローラーで走行するため、道路を走るのには適していませんし、アスファルトを傷めてしまうため、工事現場などで活躍しています」
建設機械が働く現場は、山間部の林業現場や土木工事現場、造船所など、街中から離れた場所が少なくありません。
ガソリンスタンドはもちろんなく、燃料を運ぶ必要があります。
さらに、マイナス40度の極寒冷地から55度の高温地帯、海抜0m以下の地下鉱山から海抜4000mの高山まで、その稼働環境は非常に過酷です。
また建機業界のカーボンニュートラルについて、草場氏は次のように話しています。
「世界各国でカーボンニュートラルの動きが始まっており、自動車だけでなく、我々のような建設機械の分野にもその波は確実に押し寄せています。
新しい動力源として、トヨタさんが様々な取り組みをされているように、我々も研究開発を進めています。
大きく分けて、バッテリーのような非内燃機関と、水素燃料電池(FC)、そして従来型の内燃機関(ICE)で水素を燃焼させる水素エンジンなど、全方位で開発を進めています。
また『ブリッジテクノロジー』と呼んでいる代替燃料やハイブリッド技術も含まれます」
このように建機業界でもマルチパスウェイが進められていますが、課題もあると草場氏は言います。
「技術開発もさることながら、エネルギーをどうやってお客様の現場に届けるか、という点が非常に重要です。
機械があってもエネルギーがなければ使えません。現在のディーゼル燃料並みの価格で、必要な時に供給されなければお客様は導入できません。
今回展示している燃料電池ショベルは時速5.5kmですから、自走して水素ステーションに行くことは不可能です。
機械が止まればお客様の生産も止まってしまい、大きな打撃となります」

こうした水素の運搬に関する課題に対してひとつの解決策をトヨタは提案しました。
その内容について、中嶋氏は「『水素ステーションに行けない』という課題があります。ステーション自体が現場の横にないと水素を充填できないのです」といい、次のように続けています。
「これまでスーパー耐久の中でも、水素をいかに運ぶかというチャレンジを重ねてきました。
その中で、JAFのロードサービスカーのように、そのまま給水素ができるクルマを作ろうという話になりました。
このようなソリューションがあれば、建設現場などで使われる建機にも水素を届けられるのではないか、という発想でトライアルを検討しました。
現在、軽油で動く建機には、ローリーで燃料を運び、現場で給油しています。
これをカーボンニュートラル化するために、スーパー耐久でも活用したFCVの小型トラックで水素カートリッジを運びます。
足場の悪い現場では、例えば弊社のハイラックスの荷台に水素カートリッジとミニステーションを載せて運ぶことで、悪路でも走行可能なハイラックスがショベルカーに直接給水素できるというアイデアです」
この移動式給水素システムを活用した場合のCO2排出量について、ある顧客のユースケースで試算したところ、年間約51トン排出されていたCO2が、FCトラックやFCショベルを導入することで約1トンにまで削減できる可能性があるといいます(一部ディーゼルハイラックスを使用した場合の試算)。

なぜトヨタが水素運搬にも注力するのでしょうか。その理由について中嶋氏は次のように話しています。
「我々が建機に期待するのは、水素の消費量が多いという点です。
稼働率をいかに上げていくかが事業者の皆様の関心事であり、働くクルマとして24時間しっかり働いていただくことは、イコール水素の消費量が多いということです。
来るべき水素社会を築くために最も重要なのは、水素を安定的に消費していただくマーケットがあることです。
トヨタは乗用車からスタートしましたが、それだけではステーションの安定化には繋がりません。
そこで商用車へ展開し、CJPTという枠組みで各社の協力を得て進めています」
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最後に、中嶋氏から「日本で水素を掘り当てたい。これが私の夢です」という想いが語られました。
「水素の価格が高いという課題はありますが、エネルギーのない日本にとって、再生可能エネルギー由来の電気で水を分解して水素を作るのが理想です。
そして今、『天然水素』というものが注目されています。
オーストラリアでは、掘削すると97%の純度の水素が出てくる場所があり、同時にヘリウムも産出されるため工業的にも利用価値があります。
できればコマツさんと一緒に、日本で水素を掘り当てたい。そして、そこで出た水素をどんどんこの建機に使っていただく。これが私の夢です」
建設機械とクルマ、それぞれの分野でカーボンニュートラルへの道を切り拓こうとする両社の挑戦は、まだ始まったばかりです。
水素エネルギーが秘める大きな可能性と、それを社会実装していくための地道な努力が、私たちの未来をよりクリーンで持続可能なものへと変えていくのかもしれません。
典型的な受け売り記事で、プレス発表のまんまで内容はスカスカだ。パワーショベルは20トンて言われても、大きさ解んないよ?!バケットの容量書かなきゃダメだ(0.8~1.0立方米位か?)。それと従来のローリ給油方式ではもう一つ重大な問題が有るけど、何で書かれて居ないんだろう。ローリで給油する方式の場合、消防法ではミニローリのピストルノズル給油だと1日の取扱量が指定数量迄と決められて居る。軽油ならば、第4類第2石油類なので、1000リットル迄と成る。コンプライアンスの問題が有るから、給油後は一旦ローリの常置場所に戻って、ほぼ毎日往復するしかあるまい。(一般的には複数のミニローリを用意するとか、仮貯蔵の申請をして、ストックする事が多い様だ)そこら辺まで記述頂きたかったな。