物価上昇に関するニュースが連日報じられています。その影響で、経済性に優れたクルマへの関心が高まっています。

　そんななか、シンプルかつ実用的な設計により高い経済性を誇り、ダイハツで最も安い価格を誇る軽乗用車「ミライース」が注目を集めています。

　ダイハツは「良質廉価」をモットーにクルマを開発する自動車メーカーで、ミライースもその考えがふんだんに盛り込まれています。

　現在販売されているグレードのなかでも、もっとも価格を抑えた「B“SAIII”」は、99万2200円（消費税込み）という価格でありながら、衝突回避支援機能「スマートアシストIII（SA III）」を標準装備しており、コストパフォーマンスの高さが光ります。

　ボディサイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1500mm（FF仕様）、ホイールベースは2455mmで、最小回転半径は4.4m。都市部での取り回しに優れた一台です。

　搭載されるのは660ccの直列3気筒エンジンで、最高出力49PS・最大トルク57N・mを発揮。CVTを介して前輪を駆動し、カタログ燃費は25.0km／L（WLTCモード燃費）を記録しています。

　最大の魅力は、価格を抑えつつ先進安全機能を標準装備している点にあります。

　SA IIIは衝突警報機能と衝突回避支援ブレーキ、誤発進抑制制御（前後）、車線逸脱警報、先行車発進お知らせ、オートハイビームが含まれるほか、フロント2個・リア4個のコーナーセンサーも装備されており、狭い道や駐車時のサポートにも配慮。全車にオートライト機能も標準装備です。

　一方、快適装備では割り切りが見られます。

　パワーウインドウはフロントのみでリアは固定式。ヘッドランプはハロゲンで、LEDランプやフォグランプの設定はありません。

　いわゆる“鉄ッチン”と呼ばれる13インチのスチールホイールは、センターキャップのみが備わる素っ気なさです。

　エアコンはアナログなマニュアル式を採用し、ナビやオーディオはディーラーオプション対応。内装はブラック基調で、シンプルなファブリック製ヘッドレスト一体型シートが備わります。

　実用性はしっかり確保されており、助手席前にはロングアッパートレイ、運転席と助手席にドリンクホルダー、センタートレイ、ショッピングフックなども装備。さらに荷室には汚れに強い「ビジネスデッキボード」が標準装備されており、積載性や清掃しやすい設計がなされています。

　ライバル車の代表例はスズキ「アルト A」です。こちらは106万4800円からと、ミライースよりも約7万円高い設定となっています。

　アルトも衝突被害軽減ブレーキや誤発進抑制制御などを備えていますが、装備内容はマニュアルエアコン、フロントのみパワーウインドウ、ハロゲンヘッドライトとなっており、後部ウィンドウははめ殺しとコストダウンが図られています。

　両車とも基本的な安全性能には大差なく、ミライース B“SA III”のコストパフォーマンスの高さが光ります。

　上質さや装備の充実を求める場合は上位グレードや他車種との比較が必要ですが、「安全性と経済性を両立した最小限のクルマ」という視点では、非常に有力な選択肢といえるでしょう。

　初めてのクルマやセカンドカー、あるいはビジネス用途など、ベーシックな実用車が欲しい人はあらためて注目したい1台です。