「本当のポテンシャルを存分に体感…」 フォルクスワーゲン新型「ゴルフR」は何が凄いのか? スペックだけでは語りきれない「R」の魅力とは【試乗記】
千葉県木更津市の「ポルシェ・エクスペリエンスセンター(PEC)東京」でフォルクスワーゲンの新型ゴルフR /ゴルフR Variant/ゴルフGTIのパフォーマンス試乗会が開催されました。
ゴルフRを体感する
VWのスポーツモデル「GTI」の歴史は1976年にスタートしました。
【画像】やっぱり「R」だよね! 「凄いハッチバック」を見る!(10枚)
GTIのコンセプトは、「スポーツカーより安く」、「スポーツカーに負けないポテンシャル」、「実用性はそのまま」と言うモノでした。その後、ライバルが似たようなモデルを次々と発表、ホットハッチブームの火付け役となりました。
その一方で、VWはGTIを超える「スーパーゴルフ」の開発も行なっています。
振り返ると、2代目にはスーパーチャージャー付の「G60」、3代目には狭角V6搭載の「VR6」、そして4/5代目にはV6-3.2L+AWDを搭載した「R32」などがラインアップされています。
そんなスペシャルゴルフの末裔が、6代目からラインアップされているゴルフRになります。

開発は1970年代にスタートした「VWモータースポーツ社」を起源とし、個性的な車両の開発・販売を目的に2010年に設立された子会社「VW R GmbH」が担当しています。
このVW R GmbH は2020年にVWに統合されますが、通常モデルとは独立した部門として172名がウォルフスブルクに在籍、少数精鋭で意思疎通を図りながらRシリーズおよび小規模モデル(特別モデル)の開発を行なっています。
要するにメルセデスの「AMG」、BMWの「M」と同じ存在と言っていいでしょう。
そのゴルフRが通常モデルと同じく、通称8.5と呼ばれる進化モデルが登場しました。
ちなみにRモデルの日本で発売台数は世界第6位と上位に位置しますが、「日本ではGTIに対してRの本質は理解されていないので、本当のポテンシャルを存分に体感して欲しい」と言う日本法人の強い想いから、試乗会は千葉県木更津市の「ポルシェ・エクスペリエンスセンター(PEC)東京」で行なわれました。

エクステリアは通常モデルと同じくフロントマスクを中心にアップデート。
フロントは新デザインのバンパーとLEDヘッドライト、リアはコンビネーションランプとリアバンパー下のディフューザーを変更。
更に上級グレード(Rアドバンス)に装着される19インチの鍛造アルミホイールは従来品に対して20%軽量設計&ブレーキ冷却効果アップ(開口部は71%)されています。
従来モデルよりもアグレッシブでになった印象ですが、派手な空力アイテムやワイドフェンダーなどで武装している他社のスーパーハッチたちと比べるとまだまだ控えめです。
インテリアは通常モデルと同じくセンターディスプレイが12.9インチに大型化されていますが、それ以外は基本的には従来モデルと大きな変更はありません。
個人的には静電式のままのステアリングスイッチ(通常モデルは物理スイッチに変更)、少々子供っぽいデザインのR専用グラフィックのメーター、そして上級のRアドバンスでも運転席のみのパワーシートなどは残念な所です。

パワートレインは直列4気筒2.0Lターボ(EA888型)と不変ですが、出力は従来モデル+13psとなる333psに引き上げられています(トルクは420Nmで変更なし)。
出力に注目が集まりますが、低負荷状態でもターボチャージャーが一定の回転数を維持して待機するプリロードチャージャー(=アンチラグ機能)、スロットルをオフにしてもスロットルバルブを全閉にはせずインテーク内に予め空気を取り込んでおいて再加速時のトルクの立ち上がりスピードを向上させる機能(レースモードのみ)など、レスポンスにこだわったユニットに仕上がっています。
ちなみにこのエンジンは従来モデルの20周年記念モデルで先行投入されていたモノですが、今回のから全車展開されています。
トランスミッションはMTの設定はなく、7速DSGのみの設定となっています。
値段が凄い。