「結局、ホンダはどうなるの?」 電動化の進捗&今後は? 「四輪電動化戦略の軌道修正」発表で気になる内容とは

2025年5月20日、ホンダは東京の青山本社で「2025ビジネスアップデート」を行いました。三部敏宏社長が就任以降、ホンダは事業計画の未来像を示しながら、毎年アップデートしていく形をとっています。今回は、「四輪電動化戦略の軌道修正」を明らかにしました

どうなるホンダ?

 ホンダはこれから、どうなるのか。ファンのみならずユーザーにとって大いに気になるところです。

 なぜならば、日産との経営統合を白紙撤回したり、また2040年にはグローバル新車販売の100%をEVまたFCEV(燃料電池車)の宣言を維持しているからです。

 そうした中、ホンダは東京の青山本社で「2025ビジネスアップデート」を行いました。三部敏宏社長が就任以降、ホンダは事業計画の未来像を示しながら、毎年アップデートしていく形をとっています。

 今回は、「四輪電動化戦略の軌道修正」を明らかにしました。

2025 ビジネスアップデートに登壇した取締役 代表執行役社長の三部敏宏氏
2025 ビジネスアップデートに登壇した取締役 代表執行役社長の三部敏宏氏

 それによると、「2030年時点のグローバルのEV販売比率はこれまで目標としてきた30%を下回る見通し」だと言います。

 具体的には、販売台数を360万台と想定し、HEV(ハイブリッド車)販売台数が220万台程度。

 残りの140万台がEVだとすると全体の39%になりますが、ここから10%程度EV販売台数が少なくなるということです。

 背景にあるには、世界的なEV普及の減速です。最も大きな影響があるのは欧州になります。

 ホンダ事業全体として見れば、欧州販売台数は北米、日本、中国と比べて少ないのですが、欧州メーカーがグローバルでのEVシフトに大きな影響力があり、そのトレンドが世界に広がっているという解釈です。

 欧州連合の執務機関である欧州委員会が打ち出している欧州グリーンディール政策で、EV義務化が大きく揺らいでいる状況。

 近年、欧州では一気にEVシフトを試みたのですが、結果的にユーザーがEVシフトについてきていない印象です。

 それでも、自動車産業界はこれまでドイツを中心とした欧州メーカーや、欧州大手自動車部品メーカーが牽引してきましたので、欧州発のEVシフトがホンダにも影響を与えたと言えます。

 そして、ホンダにとって最も大きな影響がある北米市場については、いわゆるトランプ関税の問題だけではなく、「アメリカの環境規制の緩和が強まっている」とホンダは指摘します。

 特に、カリフォルニア州の環境規制が見直されようとしており、その影響によってアメリカのEVシフトは鈍化するとホンダは見ています。

 ホンダは今年、ラスベガスで開催された、ITと家電の世界最大級見本市「CES2025」で、次世代EV「ゼロシリーズ」を公開し、近年中に北米、さらに日本でも導入する計画を発表しています。

 さらに、ゼネラルモーターズ(GM)と中大型SUV等でEV事業連携を行いますが、こうした一連のEV戦略についても市場動向を見ながら微修正をしていくことになりそうです。

 また、中国市場でもホンダは中国専用EVを相次いで導入しているものの、中国地場メーカーとの激しい価格競争の中でホンダの販売は厳しい状況が続きそうです。

 そのため、生産計画の見直しも検討しているといいます。

 気になる日本市場のEVシフトについては、軽EVを中心に、コンパクトカーでの新型EV導入を明らかにしています。

 だたし、日本でのEVシフトもやや鈍化している状況なので、まずは様子見といったところでしょうか。

 それと並行して、これまで進めてきたB2B(事業者間)でのエネルギーマネージメント事業の基盤作りを進めることになりそうです。

 ホンダとしては、EV単体販売ではなく、EVを活用した「儲かる新しいビジネス」を構築することが大きな課題なのです。

直近の軸足はe:HEV(ハイブリッド)
直近の軸足はe:HEV(ハイブリッド)

 こうしてEVシフトが鈍化する中で、改めて注目されるのがハイブリッド車です。

 ホンダは「次世代e:HEV」を、中小型車市場で導入するとしており、日本でもすでに報道陣向けに実験車両を公開しています。

 筆者も、栃木県内と北海道のホンダ関連施設で「ヴェゼル」で仮装した次世代e:HEV実験車を試乗していますが、現行e:HEVに比べてエンジンの制御が緻密等、ドライバーの意思に対するクルマの動きがよりナチュラルになった印象がありました。

 今後公開される中型e:HEVでは、車体設計もゼロから手掛けたということで、次世代e:HEVの特性がより鮮明になることが期待されます。
 
 もうひとつ、今回のビジネスアップデートでホンダが強調した事業分野が、知能化です。

 具体的には、「次世代ADASの開発、適用拡大による四輪競争力の向上」という題目をあげました。

 この次世代ADASを、「2027年頃に北米や日本で投入予定のEVやハイブリッド車の主力ラインナップに幅広く適用する」と発表しました。

 ADASとは、アドバンスド・ドライバー・アシスタンス・システム(先進運転支援システム)のことですが、ホンダがいう「次世代」とは「一般道や高速道の境なく、目的地までの全経路でアクセルやハンドル操作を高度に支援」することを指します。

 これは、すでに「レジェンド」で量産した「Honda SENSING Elite」を活用したもの。
「人xAI(人工知能)」の技術をさらに高めたといいます。

 日本国内での搭載予定モデルについてはまだ明らかになっていませんが、上位車種からの採用になるものと見込まれます。

 そうなると、現行で搭載していたり、今後採用を広げるとしてきた「Honda SENGING」、「Honda SENSING 360」、そして「Honda SENSING 360+」はどうなるでしょうか。

ホンダは「次世代ADASを含めて、4つのADASシステムの普及を同時並行で進める」という
ホンダは「次世代ADASを含めて、4つのADASシステムの普及を同時並行で進める」という

 この点については、2025ビジネスアップデートの後に開催された、「人とくるまのテクノロジー展2025」のホンダブースでADAS開発関係者に確認したところ、「次世代ADASを含めて、4つのADASシステムの普及を同時並行で進める」ことが分かりました。

 このように、グローバルでの政治的な思惑や、IT関連企業の自動車業界への進出などによって、ホンダの電動化や知能化のロードマップが変動していくことになるでしょう。

 ユーザーとしては、どうした時代変化を先読みしながら、ホンダを含めたクルマ選びをすることになりそうです。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。

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