快適装備不要、乗り心地最悪、市販車に似てても中身は別物、レーシングカーの目的とは

市販車の形をしたレーシングカーは、公道を走る市販車とどこが違うのでしょうか?速さが全てと目的がはっきりしているレーシングカーと市販車は同じなのでしょうか?

レーシングカーは純粋に速さを追求、市販車は?

 市販車の形をしたレーシングカーと、公道を走る一般車は、いったいどこが違うのでしょうか。答えはシンプルです。

SUPER GT GT300クラスに参戦中のModulo KENWOOD NSX GT3

 レーシングマシンはただ純粋に、速さだけを追求したクルマです。そのためには、乗り心地や快適性は犠牲にしても許されます。レーシングマシンは、例えば空中で戦う戦闘機のようで、ミサイルを撃ち込んで敵機を撃墜させればいいのですから。

 しかも、不特定多数のドライバーの好みに添う必要はありません。そのレーシングカーに乗って戦うドライバーの運転スタイルや好みに合っていればいいのです。

 一般のクルマは、遠くまでのんびりとドライブをしたいと思う人、刺激あるスピードに期待する人や、そういった様々な人の思考に答える必要があるのに対してレーシングカーは、選ばれたドライバーだけが操りやすければいいですし、そのマシンが勝てばそれでいいのです。乗りづらくても快適ではなくとも、速く走れるのならそれでいいのです。目的がはっきりしています。

 それを前提に詳細を説明します。
 
 コーナリング性能を高めるためには、サスペンションは固くします。コーナーでクルマが傾かないようにするためです。車高も限りなく低くします。重心が低い方が、コーナリング性能が高いからです。

 タイヤは、より太いものに交換します。スリックタイヤと呼ばれる溝のないタイヤを装着することもあります。スリックタイヤは、乾いた路面では抜群のグリップ性能を発揮しますが、雨が降ればまったく走れません。しかも、数100km走っただけですり減ってしまいます。もったいない話です。

 エンジンパワーは、大きな排気量のエンジンを積んだり、さらにターボチャージャーという強制的にガソリンを燃焼させる過給器を取り付けパワーを増大させることもあります。パワーがあれば加速が良くなります。レースで戦うには、有利になるわけです。

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