軽自動車でも200万円時代が到来!? 「N-BOX」なぜ高くてもイチバン売れる?

 前出のホンダ関係者は、「お買い求めになるユーザーのリクエストに答えていくと、どうしても価格が高くなってしまいます」。

ホンダ「トゥディ」(1993年)

 確かに「N-BOX」を見ると、そもそも通常のヒンジドアでなく、原価の高いスライド式。加えて海外ならVIPカーの装備である電動開閉機能をユーザーは求め、手動開閉式のドアはまったく人気がないようです。

 シートも一昔前なら軽自動車はビニールでも良かったはずですが、今ではベーシックなグレードですら上質のモケットを採用。同じく様々な部分に鉄板が見えていたインテリアは、今やフルトリム化されています。

 最近のユーザーは「軽自動車に最上級モデルの仕様を求める」というのです。これらの要望を加えていくと「N-BOX」の131万5440円というスターティングプライスになるのも納得できます。

 興味深いことに最近の販売状況を見ていると、78万円で買える「ミラ・イース」より、快適や安全装備をフルにつけると200万円近い「N-BOX」の売れ行きの方が圧倒的に良い。当然ながら自動車メーカーもユーザーのニーズにあったゴージャスなクルマを作るため、結果的に軽自動車の価格はドンドン上がっていくということになるのです。

 もちろん自動車税に代表される税金や、任意保険などのランニングコストの総計が普通車に比べ、年額で3~4万円安いということや、コンパクトで取り回しの良いボディサイズなど、日本では軽自動車が高くなっても売れる大きな理由はたくさんあります。

 今後も軽自動車の価格はジワジワ上がり続けていくのでしょうか。軽自動車の価格を決めるのは、実は多くの要望を出すユーザーなのです。

【了】

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Writer: 国沢光宏

Yahooで検索すると最初に出てくる自動車評論家。新車レポートから上手な維持管理の方法まで、自動車関連を全てカバー。ベストカー、カートップ、エンジンなど自動車雑誌への寄稿や、ネットメディアを中心に活動をしている。2010年タイ国ラリー選手権シリーズチャンピオン。

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