ホンダ斬新「“3列6人乗り”ミニバン」に注目! 大開口な「画期的ドア」&“スケスケ”なボディ採用! “極薄シート”搭載の「スカイデッキ」とは?
「JAPAN MOBILITY SHOW 2025」の開催が半年後に迫るなか、過去には展示されたコンセプトカーが実際に市販車のもととなったモデルも存在します。2009年のホンダが展示した斬新ミニバンもその1台です。一体どのようなクルマなのでしょうか。
ホンダのミニバンの新境地が垣間見えた1台
2025年10月30日から11月9日まで(プレスデーは10月29日から30日)、東京ビッグサイト(東京都江東区)で「JAPAN MOBILITY SHOW 2025(以下JMS2025)」の開催が予定されており、いよいよあと半年となりました。
このイベントは、かつて「東京モーターショー」と呼ばれていた伝統ある展示会の後継として生まれ変わったもので、現在では日本を代表するモビリティに関する大規模な見本市として知られています。
JMSでは、各自動車メーカーが一堂に会し、未来を切り開くコンセプトカーや最新の市販車を披露し、単にクルマを見せるだけでなく、次世代のモビリティ社会を展望した技術や発想を共有します。
実際にJMSや東京モーターショーでこれまで発表されたモデルのなかには、後になって市販化に至ったものや、そのデザインや技術が市販車に取り入れられた事例が数多くあります。
ホンダが2009年の東京モーターショーで公開したユニークなミニバンもその代表例の1つです。

そのミニバンは「スカイデッキ」と名付けられたモデルで、当時まだハイブリッド車が一般的になる前の時代に、ホンダが新たな可能性を見据えて開発したコンセプトカーとして披露されました。
同車は、多様な年齢層やライフスタイルを持つ人々が、趣味や日常の移動をより楽しめるようサポートすることを目指して設計され、個性的で自由なハイブリッドカーの形を模索したといいます。
ボディサイズは全長4620mm×全幅1750mm×全高1500mm、ホイールベースは2885mmです。
外観は特に低い全高が目を引き、流れるようなシルエットがスタイリッシュな印象を与えます。
ボディ全体に施された滑らかなラインは、空力性能を高めると同時にデザインの美しさを際立たせています。
また、長いフロントノーズや大きなロアグリルは、同じタイミングで発表された「CR-Z コンセプト」と共通するデザイン要素を持っており、ホンダの当時の方向性を感じさせます。
さらに外観の特徴として、前部にはイルミネーションが施されたシザースドア、後部には斜めスライド式のリアドアが採用されており、実用性と視覚的なインパクトを両立させています。
これらのドアデザインは、乗り降りのしやすさと先進性をアピールするものでした。
低い全高とスポーティなフォルムながら、室内に目を向けると3列シートで合計6人乗りのゆとりあるレイアウトが採用されています。
1列目と2列目のシートは超薄型で、センターコンソールに固定されることで、まるで浮いているような独特の配置が特徴です。
3列目へのアクセス時には、2列目シートが1列目シートの下にスライドして収まり、広い空間を確保します。
また、3列目シートも超薄型で、使用しない時には床下に収納でき、フラットで広々とした荷室に変身する柔軟性も魅力です。
室内の開放感を高める要素として、天井には大きなガラスルーフが備わっており、これがスカイデッキという車名の由来となっています。
パワートレインについては詳細が公開されていませんが、ハイブリッドシステムを搭載し、小型軽量のユニットをセンタートンネルに配置することで、低床化と低重心化を実現。
この設計により、広々とした室内空間と優れた走行性能が両立されています。
そんなユニークな魅力が詰まったスカイデッキですが、残念ながら市販化には至っていません。
しかし、その影響は後に登場したホンダのモデルに見て取れます。
例えば、6人乗りステーションワゴン「ジェイド」には、スカイデッキのシンプルで力強いボディライン、Aピラーやルーフラインの意匠、そして3列6人乗りというシート配置など、多くの要素が引き継がれています。
このように、コンセプトカーが未来の市販車に与える影響は大きく、JMSが自動車産業の進化を垣間見る場であることを示しています。
JMS 2025では、どのような新しいアイデアや技術が披露されるのか、今から期待が高まります。