BMWの「R nine T Racer(アール・ナインティ・レーサー)」は、レーシングマシンそのもの
長距離走行が楽なBMWの中では異色な存在
実際にまたがるとよく分かりますが、そのライディングポジションはレーシングマシンに近い・・・というよりもレーシングマシンそのもの。車体を真横から見るとハンドルとシートの高さはほぼ同じです。
つまり、乗車中は燃料タンクに覆いかぶさるような姿勢が求められるため、上体を支えるには腹筋や背筋、腕力を少々使うことになるのです。そのため、ハッキリ言ってしまえば決して安楽&快適なモデルではありません。BMWは基本的に長距離走行を得意とするメーカーですが、アール・ナインティ・レーサーだけがかなり異色な存在と言えるのです。
そのあたりを大西さんに聞いてみたところ、「確かにそうですね。ただし、少し見方を変えて頂けると中途半端には作っていないということです。昔のレーシングマシンは簡単に乗りこなせるものではありませんでしたが、それに忠実であろうと本気でクラシックを追求した結果、このカタチになったのです。
バイクは多かれ少なかれ変身願望を叶えてくれる乗り物だと思います。その意味でアール・ナインティ・レーサーには非日常性がたくさん詰まっていますから、ぜひそこを楽しんで頂きたいですね」ということでした。
これには納得。アール・ナインティ・レーサーがスパルタンなのは見た目から分かっていることです。穏やかそう見えて実は冷たかったりするとかなりガッカリするものですが、手強そうに見えて実際そうなのですから、そこに裏切りはありません。
それに快適性を求めるなら他のアール・ナインティシリーズに目を向ければすべて解決。なぜなら、レーサー以外のモデルには前傾姿勢を必要としないアップタイプのハンドルが備えられ、きっちりと差別化がはかられているからです。