車の「オイル交換」って必要ですか? 全く乗らないので「5万km」変えてません… 「高級オイル」は長持ちするんでしょうか? 知られざる「車の血液」の役割と交換が必要なワケ
クルマの「エンジンオイル」は定期的に交換が必要です。では交換しないとどうなるのでしょう。また、高価なオイルと安価なオイルではどう異なるのでしょうか。
車の「オイル交換」なぜ必要? そもそもオイルの役割って?
ガソリンスタンドなどでスタッフから「エンジンオイル交換」を勧められることがあります。また、車検などのタイミングでエンジンオイル交換をするという人もいるでしょう。
あまりクルマに詳しくなくても、なんとなく「定期的に交換が必要」という認識を持つ人もいるかもしれませんが、なぜエンジンオイル交換が必要なのでしょうか。交換しないとどうなってしまうのでしょうか。

エンジンオイルは、クルマの動力源であるエンジン内部を満たしているオイル(油)です。しばしばヒトの「血液」に例えられます。
エンジンオイルの役割として、主に7つがあります。まずは、「潤滑作用」です。
エンジン内部は、非常に多くの金属部品があり、これらが回ったり上下することで動力を生み出しています。そうすると当然摩擦が生まれます。
摩擦を少なくすれば、熱を持ちませんし、摩耗もおさえられ、スムーズに動くので、オイルが表面に被さっていれば(油膜)、静かで安定して動くのです。
2つ目は「冷却作用」です。エンジンはガソリンや軽油を燃やしているので、非常に高熱です。しかも、先出のように摩擦熱も生まれます。エンジンオイルはエンジン内部に張り巡らされた通り道(油路)で循環し、その熱を吸収しています。
ちなみに、エンジンの冷却はエンジンオイルとは別の冷却水(クーラント)によっても行われています。
3つ目は「緩衝作用」です。金属部品が非常に速いスピードで動いているので、当然振動します。エンジンオイルは粘り気があるので、クッションのようにはたらき、高速で動く内部パーツから発生する衝撃を吸収します。
4つ目は「防錆作用」です。燃料が燃えると酸と水分が生じ、これがエンジン内部の金属部品をサビさせていきます。エンジンオイルが金属部品の表面に油膜をつくると、空気や水分から遮断してくれるので、錆から守ります。
そして、5つ目が非常に重要な「洗浄作用」です。
金属部品が摩擦でこすれると、金属の切り粉が発生します。また、燃料を燃やしたとき、多少なりとも不完全燃焼が起きますが、これによってカーボン(スス)やスラッジ(燃えカス)が生じます。
エンジンオイルはこうした不純物を油のなかに取り込み、油路をたどってオイルエレメント(オイルフィルター)まで運んでろ過することで、エンジン内部に汚れが堆積することを防ぐのです。
このほか、「密封作用」「中和作用」もあります。
このように、エンジンオイルは7つもの作用を担っており、高温や強い衝撃にさらされ、さらに不純物なども取り込むことで、エンジンの動作を支えています。
では、交換しなかった場合はどのような影響が及ぶのでしょうか。過去の取材で自動車整備工場の整備士A氏は以下のように説明します。
「交換しなければエンジンオイルはどんどん汚れていきます。そうするとスラッジなどがたまって摺動部(しゅうどうぶ:金属部品がたがいに動く部位)の動きにスムーズさが失われると音や振動が大きくなり、燃費も悪化します。
さらに、油膜が切れてしまえば摩擦が大きくなるため内部パーツが損傷し、最悪の場合は焼き付きというものを起こし、エンジンブローを招きます」
エンジンオイルを交換しないままクルマを使い続けると、エンジンオイルそのものの劣化のほか、汚れもどんどんたまっていきます。
やがてエンジンオイルの役割が果たせなくなると、エンジンの深刻な故障という、多額の修理費が発生する重大トラブルを招くのです。
そのため、定期的なエンジンオイルの交換が必要となります。
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