運転中「お先にどうぞ」と歩行者に譲られたら…「進む!? or 止まる!?」 信号のない横断歩道での“正しいルール”とは?

信号機のない横断歩道の付近では、歩行者の通行を妨害しないよう注意する必要があります。では、歩行者から「お先にどうぞ」と譲ってもらったとき、クルマを発進させると違反になるのでしょうか。

信号機のない横断歩道で譲ってもらったとき、発進してもいい?

 横断歩道では歩行者優先が原則となっており、歩行者の横断を妨げてはいけません。
 
 では、歩行者から「お先にどうぞ」と合図があったときにクルマを発進させた場合、違反に該当するのでしょうか。
 
 過去に交通違反で検挙された経験がある人のなかには、こうしたケースで違反に問われるかどうか、不安に思っている人も多いかもしれません。

法律で定められた「横断歩道の一旦停止」(写真:photo AC)
法律で定められた「横断歩道の一旦停止」(写真:photo AC)

 まず、信号機のない横断歩道の直前では、明らかに歩行者などがいない場合を除き、すぐに停止できる速度に落とします。

 ここでいう「すぐに停止できる速度」とは、急ブレーキを踏まなくても停止できるスピードを意味します。

 そして、横断歩道を横断中または横断しようとしている歩行者がいる場合は一時停止し、歩行者の通行を妨害してはいけません。

 こうした規則は道路交通法第38条の第1項に記載されています。違反すると「横断歩行者妨害」として、違反手数2点と車種に応じた罰金が科されます。普通車の場合における罰金は9000円です。

 また、歩行者は必ず横断歩道を渡ることや、クルマの直前直後での横断、斜め横断、「歩行者横断禁止」の標識がある場所での横断をしないことが道路交通法第12条および第13条に記載されています。

 ただ、こうした横断歩道での交通ルールについて、まだ十分に認知されているとはいえない状況です。

 JAFは2024年11月、信号機のない横断歩道での歩行者横断時におけるクルマの一時停止状況全国調査を発表しました。

 2024年8月の平日、各都道府県2カ所において信号機のない横断歩道を通過する車両を対象に調査を実施したところ、歩行者が横断しようとしている状況でのクルマの一時停止率の全国平均値は53.0%という結果に。

 この調査は例年行われているもので、一時停止率は年々上昇しているものの、未だに約半数のクルマがルールを遵守していない状況となっています。

 それでは、ドライバーが横断歩道の前で一時停止して歩行者の横断を待っているときに歩行者から「お先にどうぞ」と合図があった場合、クルマを発進させると違反になるのでしょうか。

 このようなケースが違反の対象となるかどうかは状況により異なりますが、歩行者に与える危険度が高い状況では、横断歩行者等妨害等違反に問われることもあるようです。

 最近の事例では、東京都内で横断歩行者妨害に適用されるケースがあったものの、最終的には違反が取り消されたようです。

 あくまでも現場の道路状況によるケースバイケースでの判断となります。とにかく、歩行者の動きをきちんと目で確認することが重要です。

 歩行者の合図を受けてクルマを発進させるまでの短い間に、歩行者が横断を始めてしまうことも想定されます。安全な通行のためには、ドライバーと歩行者との意思疎通が鍵となります。

 一方、歩行者側の立場になって考えると、歩行者の合図がドライバーに必ずしも正確に伝わらない可能性があることを念頭に入れなくてはいけません。

 単に手を差しだしただけでは「クルマに道を譲りたい」という意思なのか「渡らせてほしい」という意味なのかが曖昧になりがちです。

 手を挙げる、または二歩三歩後ろに下がって待機するなど、自分が横断するかしないかがはっきりと伝わるようなジェスチャーを行うと良いでしょう。

 運転していて判断に迷った際は、ドライブレコーダーの記録にも残るため、歩行者と窓越しで会話のうえ、コミュニケーションをきちんととるという方法もあります。

 ただ、基本は歩行者に先に渡ってもらうのが無難といえるでしょう。

 ちなみに、横断歩道でクルマを停車させる行為も違反に該当します。

 車間距離を詰めて走行していたクルマが、横断歩道の上でやむを得ず停止している状況を見かけたことがある人も多いでしょう。

 道路交通法第50条の第2項には「車両等は、その進行しようとする進路の前方の車両等の状況により、横断歩道、自転車横断帯、踏切又は道路標示によって区画された部分に入った場合においてはその部分で停止することとなるおそれがあるときは、これらの部分に入ってはならない」という記載があります。

 横断歩道で止まると、横断しようとする歩行者にとって視界の妨げになるおそれがあり、危険度が高まります。十分な車間距離をとって走行のうえ、無理のない運転を心がけましょう。

※ ※ ※

 信号機のない横断歩道において、歩行者から譲られた場合に発進させると違反になるかどうかは現場の状況によって異なり、違反になる明確な基準はありません。

 ただ、繰り返しになりますが、横断歩道付近では歩行者優先の鉄則を守る必要があります。

 信号機のない横断歩道の手前ではすぐに停止できる速度に落とし、横断歩道を渡ろうとしている歩行者を見かけたら忘れずに一時停止すること。

 そして、ドライバー側も歩行者側も互いの動向をうかがい、渡る・渡らないの意思が誤って伝わらないよう、明確な意思疎通を心がけることが大切です。

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1件のコメント

  1. > 車間距離を詰めて走行していたクルマが、横断歩道の上でやむを得ず停止している状況を見かけたことがある人も多いでしょう。

    それは「やむを得ず」とはいわないのでは……。道路の縞々模様がなにかしらないサルがハンドルをにぎっていただけだと思う。
    あとこの手の話ではよく「車が先にいってくれたほうが安心してわたれる」と言い出す人がいるが、ならなぜ横断歩道を使う?車がいない時にわたるなら、横断歩道から離れたところでわたればいいやろ。それなら車も停車しなくていいし。
    横断する気もないのに横断歩道に近づくって、車からすればいやがらせとかわらん。
    まさか「横断歩道じゃないと危険だ!」といいださないよね?車いない時に横断するってことは横断歩道があろうがなかろうが安全なタイミングでわたるんだからさ。

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