恐怖!? トヨタ「C-HR」の盗難“未遂”事件発生! 犯人は「これじゃ走れないわ…」 まさかのもっとも「単純かつ確実」な方法でなんとか“阻止”! 茨城県警が警戒を呼びかけ
茨城県警は公式SNSで、トヨタ「C-HR」の盗難未遂事件が発生したと発表しました。一体何が起きたのでしょうか。
「C-HR」盗難を「単純かつ確実な方法」で阻止!
茨城県警は2025年2月25日、公式SNSでトヨタ「C-HR」の盗難未遂事件が発生したと発表しました。
一体何が起きたのでしょうか。また、なぜ「未遂」で終わったのでしょうか。

ピーク時から大幅に減少したとはいえ、未だに自動車盗は発生しています。警視庁が発表した最新の2025年(令和6年)自動車盗認知件数のデータでは6080件と、単純計算で1日あたり約17台が盗まれています。
昔は鍵をかけていないクルマやエンジンがかかったままのクルマを盗むなど、どちらかというと「盗まれるべくして」盗まれるケースが多くありましたが、近年では新車にセキュリティが備わったり、監視カメラがいたるところに設置されていることから、「窃盗団が欲しいクルマ」に絞られているケースがほとんどです。
そして売ったクルマは海外で売りさばくのが目的なので、窃盗団がターゲットにするのは海外でニーズが高いモデルに集中しています。
警視庁によると、令和6年(2024年)上半期に盗まれたクルマの車名別ランキングは、1位はトヨタ「ランドクルーザー」、2位はトヨタ「アルファード」、3位はトヨタ「プリウス」。
次いで、レクサス「LX」「RX」、トヨタ「ハイエース」が4から6位となっています。
例えば、ランドクルーザーやLX、アルファードは中東地域で非常に人気であり、価格も高いために利益になりやすく、多発しています。
いっぽう、東南アジア地域では実用の道具としてハイエースやプリウスが人気で、こういった地域への輸出を目的とした盗難も発生しています。
さらに、映画やマンガなどを発端とする国産スポーツカー人気により、トヨタ「スープラ」や日産「スカイラインGT-R」「シルビア」、マツダ「RX-7」、三菱「ランサーエボリューション」、スバル「インプレッサWRX」なども多数盗難されています。
加えて、先出の通り輸出が目的なので、窃盗団からすると「なるべく港に近いところで奪いとって、さっさとコンテナ詰める」のが、見つからず、かつスムーズに遂行できるキーとなります。
つまり、海に近い千葉県や茨城県、愛知県は非常に好都合で、実際にこれらの地域で盗難が多発しているほか、盗難車を保管しておくヤードも、これらの地域に集中しているようです。
SNSでもたびたびクルマの盗難情報が寄せられていますが、そのほとんどが残念ながら見つからぬままという状況です。
ただし、窃盗団が盗みを働こうとするとき、どんなに盗みたい魅力的なクルマがあっても、「これは無理だ」と諦めるときがあります。それが「クルマを物理的に動かなくしてある」場合です。
要するに、頑張って駐車場に侵入して、クルマのロックを解錠でき、エンジンをかけられたとしても、クルマが強固なロックで固定されてしまったら、大騒音を撒き散らしてロックを破壊するか、目立つクレーン車で上から吊ったり、100人くらい集まってチマチマ運ぶしか方法はありません。
そんなことをすると当然見つかって捕まる可能性があるので、もう他のクルマを盗んだほうがいいと思うわけです。

さて、今回茨城県警が発表したのは、C-HRの盗難事例です。窃盗団は常総市内に停まっていたC-HRを盗みました。
余談ですがC-HRは、窃盗団に人気のプリウスをベースにしたSUVで、海外でも人気があって売りやすいほか、日本の犯罪集団からしてもハイブリッドで静かなため犯罪に使いやすく、かつ売れたクルマで周囲に溶け込みやすいことから、犯罪に重宝する側面があります。
しかし、このC-HRは「タイヤロック」が取り付けてあり、物理的に動かなくなっていました。窃盗団はこれを見て、さすがに破壊してまで盗むのは厳しいと諦めたようです。
タイヤロックは堅牢な金属素材でできており、これをホイールのスポークの間に布団ばさみのように装着することで、走って持っていかれることを阻止できます。
もし無理やり外すのであれば、リフトアップしてホイールごと取り替えるか、先出のように頑丈なソーを持ってきてバリバリ削り取るしかありません。
これに、ホイールのナット(ボルト)を専用の工具を噛ませなければ外せない「ロックナット(ロックボルト)」などと組み合わせると、効果はてきめんです。
なお茨城県警ではこのほか盗難防止策として、強固な装置で物理的にクルマを動かなくする「ステアリングロック」や、バッテリーを外されたりしても動く「独立型の警報装置」や、「電子制御システム」の追加などを提案。
さらに、見つからないようにGPSを設置したり、ドライブレコーダーも常時録画タイプにすることでも阻止できるとしています。
公式SNSでは「みんなでやろう自動車盗難防止対策!タイヤロックは急発進されても壊れない強固なものを使用しましょう」と呼びかけています。
※ ※ ※
近年の自動車盗は「電脳犯罪」のように巧妙化しました。
例えば、「スマートキー」の無線電波を悪用して、専用の電波増幅器を使って遠くにあるキーと車両を「中継(リレー)」し、あたかもキーが手元にあるように認識させてロックを解除する手口が主流です。
また、クルマに多数のセンサーやコンピューターが備わったことから、バンパーやライトを無理やりこじ開けて、各パーツのコンピューター接続用コネクターに「CANインベーダー」を割り込ませてハッキングし、ロック解除とエンジン始動を行う例もあります。
やはりこうした手口には、結局「物理的にクルマを出せないようにする」という方法が効果的です。
このほか、クルマにカバーをかけて車種を隠したり、シャッター付きガレージや、防犯カメラやセンサーライトの設置、人目につく駐車場を選んで、「盗みに働くとかえって見つかるリスクがありそう」と思わせる場所や設備があるところに停めるのも有効です。
商業施設やコインパーキングで狙われることもあるほか、一度窃盗団に目を付けられると、車体下などにGPSを取り付け、保管場所や行動範囲を特定する悪質な集団もあるため、そういった機器がないかも定期的にチェックするとよいでしょう。