なぜタクシーは新型でも「フェンダーミラー」? ドアミラーに変えない理由
今や乗用車は”ほぼ”ドアミラー。なのにタクシーだけは新型車であってもフェンダーミラーを採用している。自動車業界7不思議の一つといえるかもしれません。一体なぜなのでしょうか。
タクシーだけがなぜ? 次世代車でも「フェンダーミラー」
「新型車なのになんで『ドアミラー』でなく『フェンダーミラー』なんだろう?」と、最近よく見かけるようになった次世代タクシーといわれる「JPNタクシー」を見て、思う人が少なくないようです。
都内のタクシー乗り場でタクシーを待っている人に聞いてみても、「タクシーのデザインだから?」「ドアミラーより後方確認がしやすいから?」と、今でもタクシーだけがフェンダーミラーを採用していることに疑問を持っているそうです。
今や乗用車は”ほぼ”ドアミラー。なのにタクシーだけは新型車であってもフェンダーミラーを採用している。自動車業界7不思議の一つといえるかもしれません。
トヨタの「JPNタクシー」開発担当者に「フェンダーミラーをなぜ採用したのか」伺ってみたところ、「そうなんです。JPNタクシーの企画段階でドアミラーの採用を考えましたが、タクシードライバーの皆さんからのご要望を聞いた結果、基本形をフェンダーミラーとしました」
運転のプロ(タクシードライバー)が、ドアミラーではなく車両前方にあるフェンダーミラーを支持するということは、安全面で有利なのか? それならと、筆者(国沢光宏)が所有するフェンダーミラー車(スバル360)に乗り込み、改めて後方視界を確認してみると、ミラーに写る情報量は圧倒的にドアミラーが有利でした。
そこで考えてみてください。目の前に鏡を置いて後方を確認するのと、手の届かない位置に置いたミラーで後方を確認するのでは全く印象が違うと思います。
そもそもヨーロッパやアメリカといった自動車先進国だって、新車として販売されているクルマはすべてドアミラー車です。
世界一安全を考えたクルマ作りを徹底しているスウェーデンの自動車会社「ボルボ」もドアミラーを採用しています。フェンダーミラーの方が安全性で有利という状況は皆無に近いといえます。
さらに言えば、日本で現在販売されている新車乗用車をみても、日本のタクシー専用車以外はドアミラー車なのです。