4月から「車検を受けられる期間」が前倒しに! なぜ「2ヶ月前から」に変更? 背景には「自動車整備士」の負担”増大”が影響… 新制度で現状とどう変わるのか

なぜ今「車検期間見直し」になった? その理由とは

 このような車検期間の見直しがおこなわれた背景には、自動車ユーザーへの配慮に加え、自動車整備士の「働き方改革」があります。

車検場のイメージ(画像:PIXTA)
車検場のイメージ(画像:PIXTA)

 国土交通省が公表している月別の車検台数(2019年から2023年までの5年間の平均データ)によると、年間平均は約281万台ですが、3月は約389万台と突出して多くなっています。

 これは3月が年度末であり、決算時期になるため、クルマの販売と登録が増えることが影響しています。販売後は年度の売上に計上したいために、年度をまたがないように登録する販売店が多く、以後車検を切らさない限り、3月に車検を迎えることになるからです。

 車検の需要が集中すると、自動車ユーザーが車検の予約を取りづらかったり、車検場が混雑し、整備工場の自動車整備士などが残業や休日出勤に追われたりする問題が生じていました。

 実際に、各運輸支局や自動車検査証登録事務所(陸運局)では例年3月になると、車検を受けるクルマで検査レーンが長蛇の列になっていたほか、名義変更や登録抹消など、行政手続きの処理にも通常より大幅に時間を要すなど、深刻な混雑となっていました。

 そのため、車検時期をできるだけ分散させることで、自動車ユーザーや自動車整備士の負担を軽減できるよう、働き方改革の一環として車検の受検可能期間を拡大する運びとなったのです。

 新しい制度が始まる2025年4月からは、自動車ユーザーが混雑を避けて車検の予約ができるほか、整備士の労働環境が改善されて質の高い整備が受けられる効果などが期待されています。

 この新しい制度に対してインターネット上では「これまで予約がいっぱいで車検を受けるタイミングが難しかったので、受検期間がのびるのは本当に助かる」、「ディーラーの年末年始休みと重なって受検できる期間が短かったのでありがたい」などの好意的な声が寄せられています。

 そのほか車検制度の見直しに関しては「新車の初回検査までの期間をもっと長くしても良いと思う」、「今のクルマは質が高いのでそこまで頻繁に検査する必要はないのでは?」といった意見も多く聞かれました。

※ ※ ※

 今後、車検の受検可能期間が従来の「1か月前」から「2か月前」に延長されますが、新制度は2025年4月1日以降に車検を受ける車両が対象です。

 また、車検の有効期限自体が延長するということではないので、注意したほうがよいでしょう。

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Writer: 元警察官はる

2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。

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