ホンダ「次期フィット&ヴェゼル」どうなる? 画期的“センタータンクレイアウト”は採用されるの? 雪上で次世代技術を体感試乗

技術的にはどうなの? 次期フィットやヴェゼルのヒントはある?

 では話を、技術要素に移します。

 まず、駆動系のシステムとしては、フロントの排気量1.5Lのハイブリッドエンジンが搭載され、またリアにはモーターユニットがあり後輪の動きを制御します。

 つまり、既存のホンダAWDが採用している、クルマのフロントからリアへの動力伝達を行うプロペラシャフトがありません。

 その上で、ホンダは「クラストップのイニシャルリア駆動力」という表現を使います。

 走行状況に合わせて前後・左右輪への駆動力配分を短時間に最適化しています。

 これを、次世代のモータートラクションコントロールシステム(M-TCS)と呼びます。

 一方で、プラットフォーム(車体)については、「将来的には次世代技術を採用予定」とした上で、従来アーキテクチャーを採用としています。

 実は、2024年12月に栃木で公開された、次世代 小型e:HEVの技術展示では、「燃料タンクの位置が後席下に配置されていたこと」に少し驚きました。

 ホンダの小型車(日本でいうコンパクトカー)は、2001年発売の初代フィットを皮切りに「センタータンクレイアウト」が採用されているからです。

 このセンタータンクレイアウトとは、クルマのリア空間の使い易さのため、燃料タンクを前席に下に配置するもの。

 ホンダのクルマ造り、さらには企業哲学ともいえる「MM(マンマキシマム・マシンミニマム)思想」を具現化させた画期的な設計です。

 クルマの運動性能に対しても、センタータンクレイアウトは大きく効き、ホンダ独自の走り味を実現しています。

 そうした考え方を、次世代 小型e:HEVでは「改める」と受け取れる技術展示でしたので、メディア関係者の間でも注目度が上がったのです。

 その際、ホンダの技術関係者から話を聞いたのですが、今回改めてセンタータンクレイアウトの今後について車体担当エンジニア達と、四輪開発部門の幹部に確認してみました。

期待せずにはいられない次期ホンダ車!
期待せずにはいられない次期ホンダ車!

 結論から言うと、「まだ最終的に決まっていない」ということです。

 2024年12月に公表した、中型 次世代e:HEVでは、新たに開発した車体を大きく5つのモジュールに分けて、FFとAWD、またはセダンとSUVなどによって作り分けるとしています。

 モデルのキャラクターに応じて、共通部品によるコストダウンを図りながらも、モデル毎の個性を生み出すためです。

 これに対して、次世代 小型e:HEVでは、中型 次世代e:HEVのように車体を完全に新設するのか、または既存の車体を踏まえてモデル毎にどこまで新設計するのか、など「現時点では様々な検討をしている」ことが、今回改めて分かりました。

 つまり、燃料タンクや、リアモーターの制御システムが必ず車体後部にあることが、小型次世代e:HEVの定義ではない、ということです。

 次期フィットやヴェゼルでは、パワートレインとしては次世代e:HEVとなり、四駆についてはプロベラシャフトがある機械式ではなく後輪をモーター駆動することは確実だと思います。

 ただし、それらをそれぞれのモデルのキャラクター(商品性)や、生産地域間の部品共有性などトータルで見て、どのようなレイアウトがベターなのかを今後決めていくことになるでしょう。

 いずれにしても、今回試乗した次世代 小型e:HEV コンセプトモデルで感じた、ホンダの新たな技術が、次期フィットや次期ヴェゼルに採用されることは間違いありません。

 それは四駆のみならず、四駆技術での知見を活かしたFFにも反映されることになります。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。

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2件のコメント

  1. ホンダのクルマ造りの変わらない考え方、それを扱うユーザーファーストの社風が伝わってきました。有難うございます?

  2. 4輪のフィットやヴェゼルは構わんが、同じホンダでセンタータンクを廃止して欲しいのは軽二輪/原2スクーターのPCX160/PCXの方だなw あのタンク配置のお陰でフラットフロアにならず、超不便!しかもフュエルリッドが開き難い糞仕様!
    何年先になるか知らんが、PCXシリーズだけはフラットフロアにして欲しいものだ♪

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