5速MTのみ! ダイハツ「“激ハヤ”コンパクトカー」がスゴかった! 高性能4WD×「930ccターボ」搭載! ムダ装備全カットで色気“ゼロ”の「走り特化型 ブーンX4」とは

ダイハツはかつて、過激なホットハッチ「ブーンX4」を販売していました。どのようなクルマだったのでしょうか。

エアコン?キーレス? そんなもん要るか! 「走りのブーン」存在

 コンパクトカーに過激なエンジンを搭載した、いわゆる「ホットハッチ」は一部のクルマ好きから根強い人気を誇ります。特に1980年代から90年代にかけては各社からスポーツハッチバックが展開され、若年層に支持されました。
 
 いっぽう、そうしたブームが落ち着いた2006年3月、ダイハツは街乗りではなく本格的に競技走行を見据えた「過激すぎるホットハッチ」を販売しました。それが「ブーンX4」です。

ホンキすぎる仕様がスゴかった「ブーンX4」
ホンキすぎる仕様がスゴかった「ブーンX4」

 ダイハツ「ブーン」は2004年に登場した5ドアコンパクトカーです。トヨタと共同開発したエントリーモデルで、トヨタからは「パッソ」としても販売。

 以後、親しみやすいデザインに手頃な価格設定としたことで、軽自動車からのステップアップやビジネスユーザー、年配層などにヒットし、3世代・19年に渡って展開されます。

 このうち初代モデルに追加設定される形で登場したのがホットモデルの「X4」でした。

 従来のホットハッチといえば、スポーティなエンジンや軽やかなハンドリングといった高い走行性能に加え、ポップなボディカラーや精悍なエアロ、充実した快適装備などを備えるのが一般的でした。

 というのも、ホットハッチとはいえども、ベース車の“最上級モデル”として展開されることが多かったため、普及グレードよりも特別感を演出して、その車種のイメージキャラクターとしたい狙いがあったからです。

 しかし、ブーンX4はこうした浮ついた考えの“正反対”をいきました。

 ブーンX4に与えられたキャラクターは「モータースポーツベース車」。つまり、競技に特化した仕様というもので、上級モデルらしい快適装備や色気のある加飾などは一切採用しませんでした。

 当時多くのモデルで標準装備となっていたキーレスエントリーや電動格納ミラーはおろか、エアコンも省略されています。日常使いは二の次といった様相で、非常に硬派なモデルに仕上がっています。

 エクステリアもドアミラーやドアハンドルが無塗装で、リアウインドウの着色もカットされており、まるで営業車のような出で立ちです。

 一応スポーティな形状のエアロが備わっていますが、これはブーンに設定のエアログレード「カスタム」と同形状のもの。

 ボンネットにはインタークーラー用のダクトを備え、リアドアにはさり気なく「X4」のデカールがあしらわれるなど、シンプルながらも戦闘力の高さを感じさせます。

 しかし、走りに関してはすさまじいコダワリが見られます。

 搭載のパワーユニットは標準のブーンにはない新開発の直列4気筒DOHCインタークーラーターボエンジン「KJ-VET」型。

 排気量は936ccと、標準モデルの996ccよりも小さなものですが、最高出力133馬力/7200rpm、最大トルクは133Nm/3600rpmを発揮。

 ターボの効果がすぐに実感できない、いわゆる「ドッカンターボ」と呼ばれる性質を持つエンジンで、街なかでは非常に扱いにくい特性を持ちますが、そのぶん刺激的な走りとシフトアップのタイミングさえ掴めばスポーツ走行にはもってこいのユニットです。

 ちなみに、中途半端な排気量に思えますが、実はこのエンジンの正体は1.3リッターの「K3-VE型」エンジンの排気量をあえて下げたものでした。

 その理由は、JAF(日本自動車連盟)公認競技に出場する場合、ターボ車は排気量に「1.7」の係数を掛けるという規定があるため、ブーンX4の場合は1.6リッターNAクラスと同レベルでバトルできるように調整されたのです。

 パワートレインはこのKJ-VET型に5速MTを組み合わせ、さらにフロントには機械式LSDを装着。駆動方式はフルタイム4WDです。

 このトランスミッションも標準のブーンには設定ないものですが、ミッションのギア比もまた、本気でモータースポーツベース車を目指していたのがわかるセッティングでした。

 ファイナルギアは「5.545」と超ローギアードに設定。5速のレブリミット吹けきりはちょうど180km/hで、5速・100km/hの巡航時のエンジン回転数は4000rpmを超えるという、もはや軽トラック並みの仕様だったのです。

 そのため、信号発進から5、60km/hに至るまで、ほぼシフトアップしっぱなしという状態。980kgの車体軽量化を実現するために、静音材なども省かれているため、高速走行はもはや苦行です。

 ただし、ジムカーナなどの加減速力が必要な競技やラリー競技などでは、このセッティングがタイムを削れる“完璧なレシピ”だったのです。

 そんなブーンX4ですが、当時の新車価格は183万7500円。

 ブーンの標準モデルが94万5000円から130万2000円だったことを考えるとやや高額ですが、走り仕様として手の込んだ内容を考えると、もしかするとお買い得だったかもしれません。

【画像】超カッコいい! これがダイハツ最強の「爆速モデル」です(18枚)

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