「通称“自動”ブレーキ」は雪道でも「効く」!? 先進機能の「過信」は禁物! 義務化された「衝突被害軽減ブレーキ」注意すべき点とは
JAFが積雪路面などで実施したテストの結果とは
JAF(日本自動車連盟)は2017年、衝突被害軽減ブレーキを圧雪路と氷盤路で検証する「ユーザーテスト」を実施しています。
新品のスタッドレスタイヤを装着したクルマを用意し、圧雪路と氷盤路(アイスバーン)を、時速10キロと時速30キロでそれぞれ3回ずつ走行し、障害物との衝突を回避できるかを検証しています。
![雪道はいつも以上に慎重な運転が求められます[画像はイメージです]](https://kuruma-news.jp/wp-content/uploads/2026/01/20250127_SnowDrive_AdobeStock_303087099.jpg?v=1737964316)
このユーザーテストでは、いずれの場合も障害物を検知して衝突被害軽減ブレーキのシステムは作動しています。
しかし圧雪路を時速10キロで走行したケース以外は止まることができずに、障害物に衝突しました。
時速30キロで氷盤路を走行したケースでは、障害物を22mほども引きずってしまう結果になっています。
これは衝突被害軽減ブレーキの動作条件を、舗装路のドライ路面を前提にしているからで、路面の滑りにくさを表す「摩擦係数」で比較してみると一目瞭然です。
一般に舗装路(ドライ路面)の摩擦係数は0.8前後、舗装路(ウェット路面)は0.6から0.4なのに対し、積雪路は0.5から0.2、氷結路は0.2から0.1と大きな差があります。
ドライ路面と比べると、積雪路は半分以下のグリップレベルなのです。
雪道のように路面の摩擦係数が低い場所では、設計通りに性能を発揮できないばかりか、実際の交通環境下では、さらに複雑な路面状況も予想されます。
そのため、衝突被害軽減ブレーキのシステムが作動しても、適切に止まることができない可能性が高いのです。
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このほかタイヤの空気圧が低下していたり、タイヤが摩耗したりしていても、適切に止まることはできません。
衝突被害軽減ブレーキは、あくまで安全な運転を「支援」してくれる装備です。
機能を十分に理解し、悪天候などの条件下では過信することなく、普段以上に安全運転を心がけるようにしましょう。
Writer: 吉川 賢一
日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイライン等のFR高級車の開発に従事。新型車や新技術の背景にあるストーリーや、作り手視点の面白さを伝えるため執筆中。趣味は10分の1スケールRCカーのレース参戦、クルマ模型収集、サウナなど

















































