「エンジンブレーキは迷惑行為!」で物議を呼んだ「エンブレ問題」って何!? そもそもなぜ「エンジンブレーキ」は存在し、どう使うべきなのか?
エンブレは悪ではない! しかし気をつけるべき注意点も?
このように賛否両論あることが分かりましたが、ではエンジンブレーキは使わない方が良いのでしょうか。

指定自動車教習所で指導歴18年の現役教習指導員であるA氏に話を聞いたところ、以下のような回答がありました。
「急な下り坂や長い下り坂を走行するときにフットブレーキを多用すると、『フェード現象』や『ベーパーロック現象』が発生するおそれがあります。
フェード現象は、ブレーキを連続的に使用することでブレーキの効きが悪くなる現象であり、摩擦材が過熱されてガス化し、ブレーキローターとブレーキパッドの間にガスが入り込むことで摩擦力が低下し、交通事故につながります。
また、べーパーロック現象は、過度なブレーキ操作によってブレーキ液が沸騰して気泡が発生し、ブレーキが効かなくなる現象であり、こちらも発生すると大事故につながる危険性があるのです。
そしてこれら2つの現象を防ぐためにも、下り坂でエンジンブレーキを活用することが大切であり、推奨されています。
ただし、意図的に強いエンジンブレーキをかけて急に減速し、後続車に追突させようとする運転は、安全運転義務違反等の違反になる可能性があります。
後続車のいる状況で減速するときや停止するときは、フットブレーキも使用しブレーキランプを点灯させることが、追突事故防止に効果的なのです」
続いてA氏は、以下のようにも述べました。
「クルマによってはエンジンブレーキが強く働くモデルもあるため、ブレーキランプが点かずに減速するようなクルマの後ろを走るときは、いつも以上に車間距離を取ることが大切です。
前のクルマと少しでも車間距離が短くなったと感じたら、早めにブレーキをかけて減速することが、自車の追突事故防止だけでなく後続車からの追突事故防止にもなります」
走行時には、ブレーキランプだけに頼って判断するのではなく、適切な車間距離を保って走ることが大切であることを、ハンドルを握る全員があらためて意識すべきでしょう。
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このように、ブレーキランプが点灯しないエンジンブレーキを煩わしく感じるユーザーも存在するものの、ブレーキの効きが悪くなる現象を起こさないためにも、下り坂でエンジンブレーキを活用することは推奨される正しい行為です。
「減速していることが分かりにくい」と感じる人は、ブレーキランプだけに頼った運転をせず、また自身が適切な車間距離を保てているかを再確認する必要がありそうです。
Writer: パワーボム
関西大学社会学部卒業後、某CS放送局運営のメディアにてライターとしてのキャリアをスタート。自動車ブログの立ち上げから携わり、主にトヨタ車やレクサス車、キャンピングカーを中心に取材記事を多数執筆する。

























