モデューロがスーパーGTに「NSX GT3」で本格参戦!Drago CORCEがGTレースに復帰
2年ぶりにGT復帰の道上選手、その想いとは
しかし道上選手は、この突然の環境の変化に対しても柔軟に受け止めていました。
「GT300クラスにこういう形で戻って来ることができたのは、とても素晴らしいことだと思っています。ご存じの通りGT300は今、とても成熟したレースカテゴリーです。その競争は年々激しさを増していて、ジェントルマンドライバーが活躍できる舞台は少なくなってきましたが、純粋なレースとしては、見ている側以上に参加する側としても、とても面白いレースです。なおかつ若手ドライバーの育成の場にもなっています」
道上さんが選手としてではなく、監督として2014年に立ち上げた「Drago CORSE」(Dragoは龍、コルセはイタリア語でレーシングを意味します)。そこから氏はスーパーフォーミュラやGT500クラスで2年間を闘いましたが、その後は前述の通りホンダからのオファーによって選手としてWTCCを闘うことになり、いったんチーム活動を休止していました。
「しかしボク個人の思いとしては、“Drago CORCE”という存在を無くしたくなかった。ですから今回、ホンダアクセスのみなさんが我々に協力して下さったことは、本当に嬉しかったです。ホンダアクセスとしても、これまではいちホンダ系列としてのサポート役でしたが、これからは主役としてチームを作り上げることができるので、とても喜んで下さっています」
と、本当に嬉しそうな笑顔で教えてくれました。そう、このチームでまず一番印象的なのは、この笑顔が代表するチームの雰囲気なのです。
ホンダアクセスとしては当日、体制発表会で商品企画部 難波大輔氏(車体カラーリング担当)、商品企画部 松永孝二氏(ホイール担当)、開発部 福田正剛氏(Modulo開発担当)が出席しました。
Modulo製品の開発チーフである福田氏が、富士スピードウェイで行われたNSX GT3初テストでの印象を語ってくれました。
「我々は日頃、量産車輌の開発をしていますが、その視点でFIA-GT3車輌を見ると、その安定性は、市販車の半分程度しかないように感じました。そしてその分を、運動性能に割り当てている。不安定な部分は、ドライバーの技量で補っているのだなぁ…と感心しました。ですから我々は、その負担をなるべく減らせるような開発のお手伝いをして行きたいと感じましたね」
FIA-GT3車輌はレギュレーションによって、レースのシーズン途中の車輌アップデートは基本的にできません。しかし年間を通してホンダアクセスがNSX GT3を見続けることで、そのデータはベース車輛となるNSXを開発しているホンダ・アメリカへとフィードバックされるのかもしれません。
また福田さんは「レースの現場で勉強させてもらうことで、自分たちの開発にもこれを活かして行きたい。レースというのは純粋に“勝つ”という魅力があります。これを若い技術者たちに見せることが、商品に対するこだわりにつながって行くのではないかと考えています。またお客さまに商品の魅力を伝える上で、レースというダイレクトなわかりやすさを学ぶことは、とても役に立つのではないかと思います」と語ってくれました。