2010年代には数多くのハイブリッドカーが登場しましたが、中でもトヨタが2012年に発表した「FT-Bh」は特に優れた燃費性能を誇りました。
　
　10年以上経った現在でも一級品とされる、圧倒的な低燃費を実現したこのモデルに、今でも様々な評価が寄せられています。

【画像】超カッコいい！ これがトヨタの斬新「超低燃費マシン」です！（13枚）

　FT-Bhは2012年にスイスで開催された「ジュネーブ国際モーターショー」でデビューし、「ECOMOTION (Eco＋Emotion)」をテーマに開発されたハイブリッドカーのコンセプトモデル。

　環境性能と燃費性能を高水準で実現し、NEDC基準で1リッター当たり47.6kmという優秀な燃費性能を達成しました。

　トヨタはFT-Bhについて、「軽量化」「走行抵抗の低減」「パワートレインの効率向上」「熱マネージメント」「節電」の5つをキーとして開発したと発表。

　ボディサイズは全長3985mm×全幅1695mm×全高1400mmとコンパクトな車体で、さらに高張力鋼板や高発泡材料を贅沢に採用することで空車重量を786kgまで軽量化しています。

　この高発泡材料は熱マネージメントにも貢献し、また丸みを帯びたボディデザインは空力性能を高め、大径かつ細幅のタイヤによって走行抵抗を低減しています。

　そんなFT-Bhのパワーユニットには、当時新開発だった1リッターの2気筒エンジンを搭載。

　このエンジンはトルクに優れたロングストローク特性を持ち、高効率なハイブリッドシステムと組み合わせることで燃費と環境性能を向上させました。

　さらにFT-Bhは燃費のみならず、シャープなデザインによって注目を集めたモデルでもあります。

　特に、フェンダーと一体化した縦型ランプと大型のアンダーグリルを備えたフロントマスクは、当時のトヨタを象徴する新世代デザインとして「キーンルック」と呼ばれるもの。

　この特徴的な造形は、後に市販モデルの2代目「オーリス」や「C-HR」「86」などにも採用されることになりました。

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　当時は「後に量産版が出てきて発売される」とも噂されたFT-Bhでしたが、残念ながら市販化されることはありませんでした。

　しかし非常に性能に優れたモデルだったため、現在でも同車について様々な評価が見られ、

「欲しい！これは日常での足クルマとして理想的」

「改めて今こそこういったモデルが必要だと思う」

「HVが最適解であることを示すためにトヨタを始めとする日本メーカーには頑張って欲しいよ」

「小排気量の2気筒エンジンって発想が良い。こういうコンパクトカーや軽自動車が出ればいいのに」

「市販車で50km／Lの燃費は叩き出せば自動車業界の風向きは一気に変わるだろうね」

　といったコメントが投稿されています。

　また、市販化が実現しなかった理由について考察する声もあり、

「この軽さが安全基準を満たす上で無理だったのかな？」

「剛性の問題なのか、動力系や燃費がクリアできなかったか…」

「産油国との政治的な事情で世に出せなかったのかもしれません」

　など、様々な予想が飛び交っています。

　とはいえ、同車の開発で培われた優れた燃費を実現するための技術や知見、そして斬新なデザインは、後に登場したトヨタのクルマに受け継がれて、今も息づいていることでしょう。