自分で「タイヤ交換」“ホイールナット”をガッチリ締めたつもりが逆効果! 最悪ちぎれる!? 意外と知らない「正しい作業手順」とは

自分でタイヤ交換する際、ホイールナットの締めすぎに注意が必要です。きつく締めすぎるとナットがちぎれることもあるというのですが、正しく作業するにはどうしたらいいのでしょうか。

力任せにホイールナットを締めればいいってもんじゃない!?

 本格的な冬が到来し、クルマも冬用の「スタッドレスタイヤ」に交換するなど冬支度が必要です。
 
 なかには自分でタイヤ交換をするという人もいるかと思いますが、DIYで作業する際はさまざまな注意点があります。
 
 そのひとつとして「ホイールナットの締めすぎ」が挙げられます。

見た目は問題なくても使っちゃいけない「スタッドレスタイヤ」がある!?
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 ホイールナットとは、クルマのボディとホイールを固定しているパーツです。

 エンジンからのパワーが各駆動シャフトを通じて、ドライブシャフトへ伝わることで「ハブ」が回転しますが、このハブとホイールを固定させているのがホイールナットです。

 もしこのホイールナットの締めが甘かった場合、走行中に固定されていたナットが緩んできます。

 最初はクルマの振動を感じるくらいで済むかもしれませんが、段々緩みが悪化してくると最悪の事態「タイヤの脱落」が起こる可能性があるのです。

 国土交通省の調査によると、2022年度にタイヤの車輪脱落事故は140件起きていて、毎年1人から5人程度の人身事故も発生しています。

 その140件のうち、車輪脱着作業後から車輪脱落事故まで1か月以内に74件、つまり事故全体の52.8%がタイヤ交換から1か月以内に起きたことが明らかになっています。

 タイヤの脱落の原因はホイールナットの締め具合だけで起きるものではなく、ホイールナットやボルトの著しい錆びや汚れ、スムーズに回転できないホイールナット、ディスクホイールの損傷なども原因として挙げられます。

 ただし、52.8%が1か月以内に起きていることと、ホイールナットの締め具合が一因となり得るため、事故の可能性を減らすためにもホイールナットをしっかり締めることが重要なのです。

 しかし、「締めすぎ」も悪影響や事故の原因になることがあるというのですが、一体どういうことなのでしょうか。

 まず、ホイールナットには適切なナットの締め具合を「Nm(ニュートンメートル)」という単位で示しており、適切な締め具合を「適正トルク」と呼びます。

 適正トルクは、軽自動車では80Nmから100Nm、普通車では90Nmから120Nmが目安とされていますが、車種によって規定トルクが定められているので、取扱説明書など確認するといいでしょう。

 タイヤ販売店やカー用品店、自動車販売店などでタイヤ交換した際、ホイールナットを取り付けるときにNmを設定できる「トルクレンチ」を使用しますが、一般ユーザーが自分で作業する際は、「クロスレンチ」や「L型レンチ」で自分の勘を頼りに締めるケースが多く、適正トルクを超えていることに気づけないパターンがあります。

 締めすぎた場合はハブボルトが折れて切れてしまったり、ホイールナットやボルトのネジ山、ホイール自体が損傷する可能性もあり注意が必要です。

 ハブボルトはクルマの本体とホイールを固定するボルトの部分を指し、ホイールナットを締めていくとわずかに伸びていきますが、元に戻ろうとする力を利用してホイールを押さえる役割を果たしています。

 もしも締めすぎるとハブボルトが異様に伸びて最終的に折れてしまい、複数のハブボルトが折れるとタイヤの脱落の可能性があり、非常に危険です。

 ホイールナットを締める際は、まず1か所を締めたら対角線上にあるナットを順々に締めていくのが正しい手順ですが、すべてのナットを適正トルクかつ同じトルクで締めていくこともポイントとなります。

 そのためにも、やはりトルクレンチを使用した方が、確実に同じ力で締めることができるでしょう。

※ ※ ※

 安全のためにしっかりホイールナットを取り付けたつもりが、締めすぎにより事故を起こしたり、多額の修理費用がかかったりしては元も子もありません。

 また常に適正トルクで締めていたとしても、ホイールナットやボルトの錆びなどクルマの利用状況により部品の傷みは避けられません。

 タイヤ交換の際はただ単に交換するだけではなく部品の状態に問題がないかも見ておくといいでしょう。

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9件のコメント

  1. タイヤ交換は馴れてる人なら解ると思いますが、タイヤ交換等の専門店のアルバイトも含め「先ず1つのナットを手回しで止まるまで軽く締めたら、タイヤを手で少しづつ右へ左へ回してみると、さっきまで回らなかったナットが、更に回り締まります。コレを4穴5穴と繰り返しガタが無くなったら、十字レンチ等の工具で仮締めし、タイヤを地面に少し着かせて本締めします」お話しした通りのガタの修正をしないで締めてしまうと、走行中のナットの緩みに繋がります。ガタの修正をしながら締めたナットは、過剰に締めなくても簡単には緩みません。要は、仕上げ締め忘れは問題外ですが、どんな正常なホイールナットでも、ガタは有るのだと覚えて下さい。

  2. タイヤを交換した時、スタッドボルトに適正トルクでナットを締め込んでも、その後の走行で発生する振動によりナットが緩む事は往々にあります。 ちゃんとしたタイヤショップならばタイヤ交換の時に「100kmも走行したらナットの緩みの点検に必ず来てくださいね」と教えられますね。 もし、自分で作業した結果、新品に近いようなスタッドボルトをナットで締めすぎて切断した場合はアルミホイールに開いているスタッドボルト貫通穴の座面表側も歪んでしまうかもしれません。

    また、毎回トルクレンチを用いて締め込み作業を行っていてもスタッドボルトは経年変化(つまり締め込み回数)で溝間隔(ピッチと言います)が広がっていきます。それを金属疲労と呼びます。こうなるとサービスマニュアルに指定されている締め付けトルクは正しいものではなくなります。

    また、ナットの形状もひとつだけではありません。ホイールと接する側の面が平坦な物もあれば先端が丸みを帯びたように尖ったタイプもあります。受ける側のホイールにしても座面が平坦な物もあれば座面が滑らかに窪んた物もあります。ホイールナット取り付け座面に適合したナットの選択は大事です。

    結論を言えば、どうしても自分でタイヤ交換をやりたいとお考えであればタイヤ専門店に出向き、そこで知識のある技術者に「自分の車にあったナットを売って下さい。非常時の交換方法も教えて下さい。」と頭を下げて教えを請うしかないですね。

    余談ですが数ヶ月前に自動車修理工場のオーナーが客の車の整備中に斜めの斜面で作業していた事もありジャッキが外れて車の下敷きになって死亡するという事故がありました。 「タイヤ交換位」と甘くみずに不安な方は慣れない作業を行わずタイヤ専門店の利用をお勧め致します。

    • > タイヤ交換の時に「100kmも走行したらナットの緩みの点検に必ず来てくださいね」と教えられますね。

      メーカー取説では1000km毎とある。100じゃ早すぎ。メーカー取説に従ってればよろし。

    • タイヤメーカでは(乗用車・大型車共)「50~100km走行後」とアナウンスして居ます。タイヤショップはそれに従って居るのだと思います、ご参考まで。

    • ウチの取説には1,000kmってなってますが?
      因みにスズキ。

    • タイヤメーカの話を出しただけで他意は無いです。
      確かに、スズキ自動車の取説には「アルミホイール装着車は、タイヤを交換してから1000km程度…」とあります。スチールの場合はどうなんでしょうね?ちなみに、ニッサン・マツダ・トヨタの取説上では5000㎞ごとのローテーションは有りましたが、増し締めは書いてませんでした(精査すれば書いて有る項目が有るのかもしれません)。

  3. 何故か多いのが夏タイヤから冬タイヤへの交換の方。おそらくは夏タイヤは純正ホイールセットでハブはピッタリと合っている。対して冬タイヤはアフター品で汎用性のあるハブ径の大きく隙間のあるホイールが使われているはず。
    適正トルクで取り付けたとしても、それまでのやり方が不適切ですと芯出しが上手く出来ずに芯ブレからナットの緩みが起きる可能性もありそうですね。
    出来ればハブリングを使いハブで芯出しをする様にすれば減らせるのかも知れないですね。
    実際、脱輪した物がどの様な物なのかは分からないですが。

  4. 50年前は、人間トルクレンチでしたね。締め付けの最後はタイヤレンチで少し車が持ち上がるような感じで締めると教わりました。

  5. ちゃんとトルクレンチ買えや。買ったところでいいわけではなくて正しい保管方法で保管すること。
    セルフ交換なら2年に1度は新しいものに買い替えるとかね。トルクの校正できる場所があればいいけど。パッと調べたところ校正に1.3万はするらしいから買い替えた方が安上がりだね。安物を年1で買い替えるか良いの買って2年に1度か。
    あ、因みに北海道でスタッドレスの脱輪が多いの知ってる?北海道はセルフ交換が主でまた北海道民の性格としていい加減な奴が多いから。

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