軽いホイールが1番は昔の話? 「ホイール交換」の重要度は
見た目だけじゃない!考えられたホイールの個性
剛性を高めるために必要なのは、質量。つまり高い剛性を求めるほどにホイールは重たくなります。しかしそれではバネ下重量もかさんでしまう。ですから同じ大きさでも鉄より軽くなるアルミが、ホイールの材料としては耐久性やコストと共に最適だったのです。
そしてここ数年は、この「軽さ」ばかりがひとり歩きをしている傾向がありました。しかし最近は、アルミホイールでも高性能なものになると、軽さと剛性を両立する考え方が主流となってきたのです。
では、どのように軽さと剛性を両立させているのでしょうか。日本で一番人気のあるスーパーGTのレース用ホイールや、ホンダ車の純正オプションホイールなどを開発している、ホンダアクセスの方に聞いてみました。
――ホイールの軽さと剛性の両立はどのようにされているのですか?
「質量を増やさずに剛性を上げるために必要なのは「デザイン」です。デザインといってもそれは見た目の美しさやカッコよさではなく、”設計”を意味します。
応力の集中する部分は質量を増やし、あまり力がかからない部分は削る。コンピューターによる解析技術が進んだ現在では、こうしたシミュレーションが事前に行えるようになり、高い品質を可能としました。
ただしコンピューターでシミュレーションすれば最適解は自ずと絞り込まれるため、どれも似た形になってしまいます。また同じCADソフトを使えば、形は似てきます。こうしたなかで各社が見栄えと性能のバランスを取りながら、その個性を発揮しているんです」
今まで述べた内容は、いわゆるクルマの動力性能を上げるためのもの。もちろんきちんとしたメーカーのホイールであれば、通常の領域においては十分な軽さと剛性が確保されています。ホイールの性能は、プロドライバーでもその精査判別が難しいもの。わたしたちが使い状況でこれを当てはめるならば、乗り心地が良く、反発感やハンドリングの違和感がないものを選べばよいでしょう。
なおホイールには「鋳造」や「鍛造」といった製法の違いもあり、それぞれ一長一短が見られます。
【了】
Writer: 山田弘樹(モータージャーナリスト)
自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経てフリーランスに。レース活動の経験を活かし、モータージャーナリストとして執筆中。並行してスーパーGTなどのレースレポートや、ドライビングスクールでの講師も行う。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。