トヨタ「センチュリー」に“激レア”「左ハンドル仕様」存在!? 「日本専売」なのになぜ作った? 現存少ない「希少モデル」細かな違いも
「左ハンドル」だけじゃない! 日本仕様との違いは
では、左ハンドルのセンチュリーは日本仕様(=右ハンドル)と何が違うのでしょうか。
筆者(山本シンヤ)が現地で実際に実車をチェックしてみました。
まずエクステリアですが、パッと見は日本仕様と同じように見えますが、電動アンテナの追加(左リア)や横長のナンバープレートに合わせて切り欠きが変更されたリアバンパーなど細部が若干異なります。
インテリアは左ハンドル化以外にも、エアコンやパワーウィンドウなど操作系に記載されている標記やコーションなどは全て日本語から英語に変更されています。
ちなみにインパネセンターのアナログ時計は日本仕様と同じですが、木目パネルはセンターに金属加飾が無い専用品のようです。
パワートレインは日本仕様と同じ5リッターV型12気筒DOHCの「1GZ-FE」型に4速AT(初期モデルなので)が搭載されています。
しかし、エンジンルームを見ると左ハンドル化に合わせ、ブレーキマスターとバッテリーの位置は左右反転されているのが解ります(エンジン左右の樹脂カバーは展示車には未装着)。
また、最高出力280ps/最大トルク481Nmのスペックは不変ですが、欧州の法規に合わせた最適化が行なわれています。フットワークはエアサスを含めて変更はないようですが、タイヤは日本仕様よりもブロックの大きめな物が装着されていました(銘柄は不明)。
ちなみにトヨタコレクションの関係者によると「恐らく、アウトバーンを走った唯一のセンチュリーかもしれない」と話します。
このクルマの当時を知るのが、当時TMEで商品企画/市場調査を行なっていた木村隆之氏(現:マセラティジャパン代表取締役)です。
木村氏によると「当時商品担当だった私が1998年頃輸入しました。当時TME社長と相談をして、センチュリーの定番のブラック(神威・かむい)ではなくオシャレなグレー(鸞鳳・らんぽう)を選択しました」と語ってくれました。
2023年、3代目となる現行センチュリーに新たなモデルが追加されました。
セダンの枠を超えた新たなパッケージの採用のみならず、当初からグローバルモデルとして開発。
つまり、章一郎氏の「世界のショーファーカーにしたい」と言う想いは、四半世紀の時を経て具体化されたと言えるでしょう。そう考えると、この左ハンドルの2代目センチュリーは単なるレア車ではなく、とても大きな意味を持ったクルマと言えるでしょう。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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