ボッシュが横浜に新本社を開設! 地域密着型のグローバルな開発拠点が誕生
自動車部品のサプライヤーなどとして知られるドイツのボッシュが、横浜市都筑区に日本法人「ボッシュ」の新本社ビルを建設し、2024年9月6日、竣工式が現地で行われました。
新本社にはカフェや会議室も備えるほか、地域活性化にも貢献
自動車部品のサプライヤーなどとして知られるドイツのボッシュが、横浜市都筑区に日本法人「ボッシュ」の新本社ビルを建設し、2024年9月6日、竣工(しゅんこう)式が現地で行われました。新たな社屋は都筑区民文化センターに隣接し、本社施設の一部を市民が活用できるよう配慮された「地域密着型」の本社です。
ボッシュグループは、ドイツを本拠地とするグローバル企業で、日本だけで約6400人の従業員がいます。
2018年に、官民連携事業である「横浜市都筑区における区民文化センター等整備予定地活用事業」の事業者に選ばれ、2022年から新本社と都筑区区民文化センターの建設をスタート。これがボッシュグループ初の公民連携プロジェクトだそうです。新本社は地下2階と地上7階建てのビルとなっています。
新社屋では、2025年3月オープン予定の「ボッシュホール」と呼ばれる都筑区民文化センターだけでなく、社屋の一部も市民が利用できる取り組みも行われています。地域の新名所となりそうなのが1Fフロアの「cafe 1886 at Bosch」です。東京・渋谷にあった旧本社ビルで「ボッシュカフェ」の愛称で地域の人たちにも愛されてきた名物カフェが移転。バーガーやパスタ、ピザなどの料理に加え、コーヒーメニューも充実し、ドイツビールも楽しめます。
店内には、往年のボッシュ製品も展示されていて、その歴史を感じることができます。同じフロアには、製品のショールームに加え、有償貸し出し予定のさまざまな広さの会議室が用意されており、地域の活性化や文化交流に活用してもらえるよう配慮されています。
大規模研究施設で開発スピードアップ、日本車進化に貢献
新本社では、東京・横浜エリアに点在した8拠点を集約し、約2000人が働きます。社内には、経営や企画などの業務のメンバーだけでなく、大小の研究施設を備えることで、開発者たちも働いています。
地下にある大型ラボには、自動車の電動化に重要な搭載製品の作動音や振動が車両全体にどのように伝達されるかをテストする「半無響室」や、自動運転技術に関する先進運転支援システム(ADAS)に必要なレーダーの測定を行う「電波暗室」などの施設を新設。メリットは、開発スピードの短縮です。例えば、電波暗室の試験は、設備のあるドイツやハンガリーの拠点に依頼していたため、結果の報告まで約1カ月が必要だったそう。それが最短1週間まで短縮できる上、輸送コストの削減もできるとしています。
都筑区に本社を移転した狙いのひとつが、新本社から約2kmの距離にある研究開発施設の存在です。本社との物理的な距離も近いため、開発業務の円滑化が期待されており、将来的には、シャトルバスで2拠点を結びたいとしています。また、フロアごとにテラスや広いオープンスペースを備え、外気が取り入れられる会議室もあるなど、開放感にあふれています。日本のボッシュだけでも約40カ国の従業員がいるという、文化の違う人たちが一つ屋根の下で互いに支え合うための配慮なのかもしれません。
日本のボッシュの歴史は、1911年に横浜で始まっており、113年もの歴史があります。ただ近年は、一般向けの製品がクルマの消耗部品や電動工具などに限られるので、日本の自動車メーカーを陰で支える存在でありながら、その名が比較的に知られていないという現実もあります。そこで新本社でボッシュの存在をPRする狙いも大きいようです。
横浜市営地下鉄のセンター北駅からほど近いというアクセス性の良さからも、ボッシュホールや社屋の開放設備を用いたボッシュならではの取り組みも期待されています。
Writer: 大音安弘(自動車ライター)
1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者へ。その後、フリーランスになり、現在は自動車雑誌やウェブを中心に活動中。主な活動媒体に『ナビカーズ』『オートカーデジタル』『オープナーズ』『日経トレンディネット』など。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。
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