エンジンは生き残る? EVシフト減速も「欧・中・米」による三つ巴の政治の戦いは続く…日本はどうなる? ボルボEV戦略撤回で業界の先行きは?
EVシフトは環境のため? 政治的要素が大きいのが現状… 各国の動きは?
つまり、EVシフトが今後どう進むのかは、充電インフラ整備や、全固体電池といった次世代技術の導入よりも、海外市場における法規制に対する政治的な判断の影響が大きいと言わざるを得ません。
政治的な判断の根源は、「カーボンニュートラル」です。
COP(国連気候変動枠組条約・締約国会議)を筆頭に、地球環境に関する国際会議での方針を軸に、特に欧州連合(EU)が自動車のCO2排出量規制を強く打ち出したのです。
その中で、「2035年までに欧州域内で乗用車・新車100%をZEV(EVまたは燃料電池車)化」を義務付ける法案を策定する最終段階で、ドイツが異論を唱えました。
eフューエルなど合成燃料を使う内燃機関(エンジン)も認めるべきだ、という主張です。
こうした政治的な動きに、日系メーカー各社の関係者からは「想定外で、とても驚いている」という声が聞こえてきました。
さらに、EVの主要部品であるバッテリーについて、「バッテリーパスポート」という規制も導入。
材料から製造、そして販売後には廃車やリサイクルに至るまで、バッテリーの一生をデータで管理するもので、材料採掘での作業者の人権にまで踏み込んでいるのが特徴です。
ある日系メーカーの幹部は、筆者との意見交換の中で「弊社も中期的な観点で今、EVシフトの準備をしているところです。しかし、欧州がいうバッテリーパスポートをどう解釈して、どうやって事業を構築するべきか、なんとも悩みが多い」と本音を漏らします。
こうした欧州連合に法規制強化は、EVのデファクト(事実上の標準化)を狙う政治的な動きという見方ができるでしょう。
中国に目を向けると、経済全体が減速傾向にある中、「新エネルギー車」と中国で呼ぶ電動車について、EVよりも価格が安く航続距離が長いプラグインハイブリッド車やレンジエクステンダーの普及を強化しています。
これも政治的な判断であり、日系メーカー各社は対応策に頭を悩ませているところです。
アメリカでも政治的な判断がEVシフトに大きな影響を与えています。
この2年、バイデン政権による事実上の対中国政策と言われる、IRA(インフレ抑制法)に日系メーカー各社が対応に追われてきました。
そしていま、秋の大統領選挙は終盤戦となり、次世代自動車に対する連邦政府の施策が今後どうなるのかまったく予想がつかない状況にあります。
このように、EVシフトでは、欧州、中国、アメリカによる三つ巴の政治の戦いという様相を呈しており、その中で日本は欧中米それぞれとの有効な関係を維持しつつ、日本独自のEV技術をうまく盛り込んでいくことになるでしょう。
その上で、日本ではユーザーの需要としては乗用車では軽EVが当面主流となり、また国としては普及が遅れている商用EVの強化を進める方針です。
なおトヨタやスバル、マツダは電動化時代に沿った新たなエンジン技術の開発を明かしており、こうした動きからも目が離せません。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
首都圏の人口密集地帯に住んでいます。近所からはEVステーションが次々と去っていく有り様です。
リース契約が終わったのか? それとも将来性に見込みが持てなくなったのか?どちらが理由だかわかりません。一時の高級マンションの敷地内駐車場にEVステーション装備とかの風潮も何処に行ったのやら。その日本から南の方に下ってみれば豪州ではEVステーション大手が撤退したそうですね。将来的にEV化は避けては通れない道筋なのでしょうが現在の時点では苦しそうです。これまでのアプローチ方法とは違った技術的な大変革もEV界隈には必要なようです。
仮の話。。。トランプが大統領になれば、BEVは否定されます(特に中国製は100%以上の関税掛けられる)理由は米国内の労働者、すなわち炭鉱、石油採掘などに関わる業務優先するからだ。