SUVのスタッドレスタイヤはどう選べば良いの? 横浜ゴム「iceGUARD 7」と「iceGUARD SUV G075」にはどんな違いがある? 同条件で試乗してみた
横浜ゴムではSUV用スタッドレスタイヤとして「iceGUARD SUV G075」をラインナップしていますが、乗用車用スタッドレス銘柄である「iceGUARD 7」でもSUV用サイズを展開しています。果たして2つの銘柄にはどんな違いがあり、どう選べばいいのでしょうか? 本記事では、2024年2月に両タイヤを試乗した様子をお届けします。
「iceGUARD 7」と「iceGUARD SUV G075」を圧雪路でチェック
昨今の日本の新車販売をボディタイプ別にみると、人気ナンバーワンはSUVです。となればこの時期、新たにSUVを購入し、冬に備えてSUV用のスタッドレスタイヤ選びが気になる人も多くいることでしょう。
日本のタイヤの主要ブランドのひとつであるヨコハマ(横浜ゴム)はSUV用スタッドレスタイヤとして「iceGUARD SUV G075(アイスガード・エスユーブイ・ジーゼロナナゴ)」をラインナップしていますが、実は乗用車用スタッドレス銘柄である「iceGUARD 7(アイスガード・セブン)」もSUV用サイズを展開。つまり多くのSUVでは、ヨコハマの製品で2つの銘柄が選べるようになっています。
果たして2つの銘柄にはどんな違いがあり、どう選べばいいのでしょうか? 本記事では、トヨタ「RAV4」の4WDモデルに同サイズ(225/65R17)の2銘柄のスタッドレスタイヤを履いて走行性能の違いを比べた様子をお届けします。試乗は2024年2月に北海道で実施しました。
まずは圧雪路でハンドリングとブレーキをチェック。表面は踏み固められた雪ですが、その下は溶けた雪が凍ってアイスバーンになっている過酷なコンディションで試してみました。
ハンドリングはiceGUARD 7の安定感と素直さが印象的で、比べるとiceGUARD SUVはやや滑り出しが早い印象。どちらも安心して走れますが、圧雪路におけるグリップはiceGUARD 7が優位です。ブレーキの制動距離はどちらも同等と感じました。
雪上性能はほぼ同等、氷上では「iceGUARD 7」に軍配が?
次はステージを変えて、氷上におけるコーナリング性能を比較。半径15m+αの円状になった氷の上を走って比べてみました。
2つのタイヤを比べて感じたのはiceGUARD 7の優位性。ツルツルと滑る氷の上ながらステアリング操作に対して素直に曲がるし、滑らないようにしっかりと粘る印象です。クルマのスタビリティコントロールの介入も遅いし、周回するタイムも明確にiceGUARD SUVより早い(=旋回速度が速い)ものでした。
比べるとiceGUARD SUVはステアリングインフォメーションが薄く、絶対的なグリップでもアンダーステアが出やすいし、滑り出しの速度レンジが低いことを感じました。つまり、氷上でのグリップ性能はiceGUARD 7のほうが上位ということです。
氷上でのブレーキ性能(マイナス3度に設定された氷の上で時速30kmからABSを効かせて停止)も試してみましたが、iceGUARD 7のグリップ力の高さはここでもしっかりと現れました。
iceGUARD 7はブレーキペダルを踏み込むとタイヤが踏ん張るので減速力がしっかり立ち上がり「こんなに短い距離で?」と思うほど確実に止まります。最新のスタッドレスタイヤはすごいですね。
いっぽうiceGUARD SUVも十分に止まるのですが、iceGUARD 7ほどは路面に食いつかず、制動距離も15%ほど伸びる印象。意外に違うものですね。
というわけで2つの銘柄を比べてわかったのは、雪上性能はほぼ同等(iceGUARD 7がわずかに優位)なのに対し、氷上では明確にiceGUARD 7のグリップ力が高いということ。氷上性能を重視するなら、SUVでもiceGUARD 7のアドバンテージが高いということです。
この差がどうして生じているかといえば、使われている技術の“世代”の違いに理由があります。iceGUARD 7がヨコハマの最新テクノロジーで作られているのに対し、iceGUARD SUVの技術はiceGUARD 7の1世代前となるiceGUARD 6がベース。だから氷上性能には1世代分の技術の差による性能の開きがあるというわけです(技術の進化ってすごいですね)。
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