“12気筒”エンジンの「和製スーパーカー」に反響多数!? 「夢がある」「凄すぎ」 6速MTで500馬力超え! 軽量「流麗デザイン」がカッコイイ「未成のマシン」とは

スバルといえば「水平対向エンジン」を搭載することで知られていますが、実はかつて「12気筒」の水平対向エンジンを製造していたのです。SNSなどではさまざまなコメントが投稿されています。

実現直前で「白紙撤回」… あと一歩で“頓挫”した幻のスーパーカー

 スバルといえば、重量バランスに優れ振動も少ない「水平対向エンジン」を搭載することで知られています。
 
 現在では4気筒のみの展開ですが、かつて「12気筒」の水平対向エンジンを製造していたのです。SNSなどではさまざまなコメントが投稿されています。

幻に終わった「ジオット キャスピタ」(収蔵および撮影協力:日本自動車博物館)
幻に終わった「ジオット キャスピタ」(収蔵および撮影協力:日本自動車博物館)

 スバルの水平対向12気筒が搭載されたのは、1989年に登場した「ジオット キャスピタ」という2人乗り2ドアクーペです。

 バブル景気真っ只中の1980年代中頃、服飾メーカーとして有名なワコールとレーシング・コンストラクターの童夢、スバルの3社が協働して開発。

「公道を走れるF1マシン」をテーマに、新たな国産スーパーカーの誕生を目指した壮大な計画となっていました。

 デザインはワコールが出資した「ジオットデザイン」によるもので、クルマとしての設計開発や製作は童夢が担当。

 低いノーズに流線的なキャビン、サイドには大きなエアダクトが設けられ、スーパーカーらしい官能的で美しいデザインを採用。リアには可変式の大型リアウイングを装備し、海外のスペシャルモデルにも引けを取らない存在感をまとっています。

 ボディサイズは全長4534mm×全幅1996mm×全高1136mm。ボディ素材はフルカーボン素材が用いられ、1100kgの軽量な車体を実現しています。

 そして、パワーユニットにはスバルの3.5リッター水平対向12気筒DOHCエンジンを搭載。小排気量ながら最高出力は585馬力、最大トルクは38.2kgf-mを発生させます。

 実はこのエンジン、当時のスバルがF1への参戦を目指していたことが関係しており、イタリアのレーシングエンジンメーカー モトール モデルニと共に開発した、F1向けエンジンだったのです。

 実際には公道走行を見据えてデチューンが施されていましたが、それでもなお600馬力近くを発揮するなど、スペック的にも正真正銘のスーパーカーとなっていたのです。

 このユニットはミッドシップに搭載され、6速MTと組み合わせます。ハンドリングと路面追従性に優れる前後ダブルウィッシュボーンサスペンションやブレンボ製レーシングブレーキも採用され、極めて高い動力性能を確保していました。

 そして1989年10月、平成最初の第28回「東京モーターショー」で披露されたのち、数年後の市販化を目指して開発が加速。

 しかし、スバルのF1参戦は白紙に戻され、モトール モデルニと手を組んだ水平対向12気筒エンジンの供給計画も頓挫します。

 さらに、スバルはジオット キャスピタのプロジェクト本体からも撤退。これに伴って、新たな搭載ユニットを探す必要が生じました。

 そして英国のレーシングエンジンメーカー ジャッド製のV型10気筒エンジンが採用され、2号車として開発が再スタートしたものの、すでにバブル景気は崩壊。完成した2号車がなんとか披露されたものの、市販化計画も撤回され、その登場は幻と化してしまったのです。

 そんなジオット キャスピタについて、SNSなどでは現在もなおさまざまなコメントが投稿されています。

「夢があっていいね」「実現には至らなかったのがさみしい」「ホンダエンジンに続こうとトヨタもスバルもいすゞも張り切っていた時代」「良くも悪くもこの時代には夢があった!」など、今では考えられないプロジェクトに、当時の活気を思い出す人が多いようです。

 また、「6気筒エンジンで今出して欲しい」「すごすぎる、これは売ってほしかった!」など、市販化への再度の望みをかける人もいるようです。

※ ※ ※

 ちなみに、スバルの水平対向12気筒エンジンが搭載された貴重な1号車は、石川県小松市の「日本自動車博物館」に展示されています。

 さらに、山梨県鳴沢村の河口湖自動車博物館・飛行舘(8月のみ開館)では、自動車館で同エンジンのエンジンブロックが展示されており、幻となったスバルのF1エンジンを見ることができます。

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