トヨタの斬新「“タマゴ型”ミニバン」! 次期「エスティマ」と目される「画期的モデル」!? シートまで“タマゴ”な「FCR」とは

次期エスティマも「天才タマゴ」たるイノベーションを実用化か

 2017年にお披露目されたコンセプトカーのファインコンフォートライドについて、トヨタはひとことも「次期エスティマ」とは言っていません。

 しかしタイヤがクルマの四隅に配置し、大きな6ライトウィンドウとミニバンにしては低く構えたエクステリアは、未来のエスティマを彷彿とさせるものでした。

「Fine-Comfort Ride(ファイン コンフォート ライド)」がみせてくれたイノベーションの数々が次期「エスティマ」へつながる!?
「Fine-Comfort Ride(ファイン コンフォート ライド)」がみせてくれたイノベーションの数々が次期「エスティマ」へつながる!?

 また公開されたインテリアのスケルトン画像は、1989年の第28回東京モーターショーでお披露目されたコンセプトモデルの初代エスティマが「動くカットモデル」として出展されたことを思い出させるものでもありました。

 ファインコンフォートライドのボディサイズは、全長4830mm×全幅1950mm×全高1650mm、ホイールベース3450mmと大柄ですが、デザイン表現を重視したコンセプトカーのサイズはたいがい大きくなりがちなことを考慮すると、3代目エスティマの全長4750-4795mm×全幅1800-1820mm×全高1730-1760mmに近しいものとなります。

 パワートレインは、水素を燃料とするFCV(燃料電池車)で、モーターをホイール内に置く「インホイールモーター」にすることで、キャビンを広く取ることができています。

 インホイールモーターは、次世代BEV(バッテリーEV:電気自動車)のイノベーション技術のひとつとされるものの、現在はまだ実用化されていません。

 インホイールモーターは、ファインコンフォートライドが示したようにデザインの自由度が高くなるほか、ドライブシャフトが省略できるなど、構造がシンプルで部品点数の削減と軽量化、省エネルギー化に貢献できる構造になっています。

 しかしタイヤに受ける衝撃がそのままモーターに伝わりやすいことが最大の課題で、モーターの堅牢性を高める技術と、ホイールが受ける衝撃をできるだけ減衰させる技術が必要とされています。

 この難しい課題は、初代エスティマが前代未聞のアンダーフロア・ミッドシップレイアウトを実現していたことを思い出すと、次期エスティマが世界初のインホイールモーターを採用した市販車となる可能性に繋がります。

 初代エスティマは、ハイエースに採用されていたRZ型エンジンをベースに新開発された2.4リッター直列4気筒「TZ」型ガソリンエンジンが搭載されましたが、元々は当時のトヨタが開発していた2ストロークエンジンを採用する方向だったという話がありました。

 1990年当時でも、2ストロークエンジンは四輪車からは駆逐され、二輪車の小排気量エンジンだけが採用していたことを考えると、かなりのイノベーションといえます。

 結局は排気ガス規制に対応できず採用を断念したようですが、このエピソードも“天才タマゴ”エスティマらしさを感じます。

 次期エスティマのデビューも、ひょっとすると世界を驚かす革新的な技術のデビューとなるのではないでしょうか。

 トヨタが満を持して、世界初のBEVないしはFCVのインホイールモーター車にエスティマの車名を与えて復活させる……そんなストーリーに期待が持てます。

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Writer: 佐藤 亨

自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。

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