スマホのアプリでクルマが「凄くなる!」って本当? GRヤリス&LBXの「サーキットモード」ってナニ? ある意味SDVなのか

実際にサーキットで「サーキットモード」を体感! どんな感じ?

 では、実際に使ってみるとどうなのでしょうか。

 今回はモビリティリゾートもてぎの南コースを用いた特設コースで体感してきました。

 まずはスマートフォンを用いてサーキットモードに切り替えます。

 アプリを起動させサーキットモードを起動させると、いくつかの承認(サーキットでの不具合は保証対象外、サーキットは自己責任ですよ)をタップすると、その情報がサーバーに送られ、サーバーからDCMを介してクルマ側に伝わり、サーキットモードに変更。

 すると、メーター内に緑で「CIRCUIT Mode ON」と共に専用の表示メーター表示に切り替わるのに加えて、アイドル回転数が約1400rpmに上昇します。

 機能的には全然問題ありませんが、個人的には「音」などを用いた演出があってもいいかなと。

「早速スタート!!」と言いたい所ですが、ここからセッティング作業です。

 アンチラグ機能(なし/弱/中/強)、シフトタイミング(4000~7000rpmの範囲で100rpm刻み)、シフトチェンジインジケーター表示(ギア連動方式orカウントダウン方式)、更にはカウントダウン方式で表示させる秒数(1秒前、1.5秒前、2秒前、3秒前)などを調整することができます。

 スマホでのセットアップは、まさに “実車版”グランツーリスモと言った感覚で、走らせる前からワクワクしてきます。

アクセルOFF時もターボを強制的に回してラグを無くす「アンチラグ機能」もスマホで!
アクセルOFF時もターボを強制的に回してラグを無くす「アンチラグ機能」もスマホで!

 ここからは機能を分けて印象を語っていきます。

 試乗車両はGRヤリス、LBX MORIZO RR共に6速MT/8速DATが用意されていました。

 まずはアンチラグ機能です。

 コーナーに向かいクルマを発進させますが、アイドル回転数が1400rpmアップした事でMT車はよりスムーズな発進ができるのは嬉しい誤算でした。

 アンチラグ機能はアクセル開度40%を超えた状態でアクセルOFFもしくは開度を下げた場合(約4000rpm以下)で作動します。

 アクセルOFFからブレーキングでコーナーに進入し、脱出に向けてアクセルを踏んでいくと、アクセルを踏んだ時のツキの良さと過給の“待ち”が無い事を実感。

 感覚的にはターボが抵抗感なくスムーズに回っている印象で、その結果、よりシャッキリしたフィーリングになっています。

 ちなみに作動中は競技車のようなバリバリ、パンパンと言った音は無く、強いて言えば耳を澄ますとノーマルよりもターボのブローオフの音が聞こえる程度。

 更にメーター内にアンチラグ作動中を示す表示が点灯、ブーストメーターがゆっくりと上昇していくのが確認できますが、それを見ている余裕はありません。

 ちなみにLBX MORIZO RRはASC(アクティブ・サウンド・コントロール)の中で擬似的なバブリング音を発生させますが、連携はしていないものの、盛り上がります。

 走行の合間にアンチラグの強度レベルを調整してみます。

 もちろん「強」が最もわかりやすいですが、その一方で制御上エンジンの回転落ちが悪くなってしまうので、より前荷重を意識したコーナリングでクルマの向きを変えないと、逆に脱出でアンダーっぽく感じて乗りにくくなってしまう事も。

 そのため、ドライビングスタイルによっては「弱」のほうが走りやすいと感じる人もいると思いますが、そんなアジャストを誰でも簡単に気軽に試すことができる事も、このサーキットモードのいい所です。

 更に驚いたのはアンチラグ機能の副次的効果なのかハンドリングも良くなっていた事です。

 恐らく、より狙った所でアクセルONが可能→電子制御4WD制御に迷いがなくなくなりクラッチの締結ロスが減る→よりリアにトラクションが掛けられる→よりアクセルで曲がる(=駆動で曲がる)と言うわけです。

 これはシッカリと証拠があり、カメラマンが撮影したコーナー脱出時の走行写真を見ると、リアタイヤに荷重が今まで以上にシッカリ乗っていることが確認できます。

リアタイヤに荷重が今まで以上にシッカリ乗っていることが確認できる
リアタイヤに荷重が今まで以上にシッカリ乗っていることが確認できる

 今回はアンチラグ機能の効果を解りやすい体感するために、GRヤリスはあえてグラベルモード(53:47)で走らせましたが、従来型のスポーツモード(30:70)のようなフィーリングを再現。

 一方LBX MORIZO RRも同様の理由から50:50固定で走らせましたが、「君はGRヤリスか」と思ってしまうくらいグイグイと曲がってくれました。

 この印象を開発者の1人であるGRカンパニーの茶谷勝利氏に伝えると、ニンマリと「理論的にはそうなりますが、これはシッカリとクルマの向きを変えられる人の特権ですね」と教えてくれました。

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