なぜ「軽バン」人気になった? かつては「商用ターゲット」も今では「一般ユーザー」にも浸透 根強いファンを獲得した理由とは
「バツグンのコスパ」も人気の理由か
さらに、ベーシックモデルであれば値段が安いのも魅力。
エブリイの最安仕様はなんと113万7400円(「PA」グレードの2WD・5MTモデルで受注生産となる「スズキ セーフティ サポート非装着車」の場合)。
ハイゼットカーゴであれば、廉価グレードの「スペシャル」はなんと104万5000円からです。
昨今は「軽自動車は200万円」なんて言われる時代ですが、軽バンであれば装備がシンプルとなるものの、わずか100万円ちょっとから選べるのだから素敵すぎます。
もちろん上記は廉価仕様の価格であり、装備の充実を求めたり、動力性能に余裕があるターボエンジン搭載車を選ぶとなれば、それなりに価格も上がってしまいます。
しかし、“気軽に買える安い仕様”も用意されている意味は大きいでしょう。
なぜ安い仕様が用意されているかといえば、軽バンはもともと仕事として荷物を運んだりするプロツールとして生まれたからです。シンプルで機能に徹した存在と言えるでしょう。
しかも、メリットはそれだけではありません。なんと税金が安いのです。
自動車税は、軽ワゴンが年間1万800円なのに対し、軽バンは半額にも満たない年間5000円(自家用登録の場合)。ちなみに重量税や自賠責保険の金額は変わりません。
軽バンのメリットを簡潔に言うと「荷物を運ぶのに便利で、気軽に所有できる」となるでしょう。車中泊派にも魅力的なパッケージングです。軽バンを仕事用でなく個人所有し、趣味車として活用する人が多い理由もそこにあるといっていいでしょう。
ただし、いい部分ばかりではありません。
軽バンの弱い部分は、まず運転感覚が特殊なこと。これはある程度慣れの部分もありますが、それに加えて居住性に目を向けると後席の居住性はスーパーハイトワゴンにはどう逆立ちしてもかないません。
また、床が高いので乗り降りのしやすさなどもスーパーハイトワゴンにかなわない部分。元々が商用車設計ということもあって、振動やエンジン音などの快適性、そして燃費や走行安定性なども乗用車系のモデルに比べると劣ります。
もし軽バンを仕事のパートナーではなく乗用ニーズとして買おうというのであれば、そのあたりもしっかり考慮したうえで選ぶのが望ましいでしょう。
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。
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