なぜ「軽バン」人気になった? かつては「商用ターゲット」も今では「一般ユーザー」にも浸透 根強いファンを獲得した理由とは

近年、「軽バン」の人気が高まっています。従来は商用ニーズとして支持されていましたが、現在では一般ユーザーも所有する人が増えています。一体なぜなのでしょうか。

なぜ“仕事道具”の「軽バン」が人気になった?

 軽バンはかつて、配送業など商用ニーズで支持されてきましたが、近頃は一般ユーザーも軽バンを購入する人が増加。新型車のなかにはオシャレで親しみやすいモデルまでラインナップされるようになりました。
 
 どういった点が商用・一般問わず支持されるのでしょうか。

軽バンが指示される理由は?(画像はホンダ「N-VAN」)
軽バンが指示される理由は?(画像はホンダ「N-VAN」)

 軽自動車の中で、隠れ人気ジャンルとなっているのが「軽バン」と呼ばれるクルマたちです。

 ホンダ「N-BOX」やスズキ「スペーシア」など、売れ行きを伸ばすスーパーハイトワゴンとはボディ形状が違い、ボンネットが極めて短いキャブオーバータイプ(エンジンの上に運転席があるパッケージ)の箱型のボディとしているのが特徴です。

 具体的には商用車登録のスズキ「エブリイ」、ダイハツ「アトレー/ハイゼットカーゴ」、日産「クリッパー」などが該当。

 広義では乗用車登録となるスズキ「エブリイワゴン」や、ボンネットバンタイプのホンダ「N-VAN」、スズキ「スペーシアベース」を含めることもあります。

 2024年7月の販売台数をみると、エブリイは4989台(加えて同じボディで乗用車登録のエブリイワゴンは2008台なので合計すると7000台近い)で、ライバルとなるアトレーとハイゼットカーゴ(この2台も車体は同じで内外装の仕立てやエンジンが異なる)は合計6838台とこちらも大人気。

 それらに比べると少ないですがクリッパーも2671台を販売しました。

 実は、クリッパーもエブリイをベースとしたOEM(相手先ブランド)モデルであり、同様にスズキからOEM供給される日産「クリッパーリオ」、マツダ「スクラムバン」、三菱「ミニキャブバン」も同じ車体でスズキが生産。

 それらを含めた“エブリイ兄弟”は、1万台以上を売り上げた計算となる「超人気モデル」と言っていいでしょう。

 1万台といえば、もし単一車種でカウントしていたならば軽自動車販売ランキングの4位に入る実力です。

 ダイハツのアトレー/ハイゼットに関しても、OEMモデルであるスバル「サンバーバン」やトヨタ「ピクシス」を足せば約8000台となり、こちらも合計すれば軽自動車販売ランキングの5位に入る規模。

 車体はスズキ「ハスラー」や「ワゴンR」などよりも、たくさん作られているのです。

 ところで、そんな軽バンの魅力はいったいどこにあるのでしょうか。

 まずは広いラゲッジスペースです。軽バンはそもそも荷物をたくさん積むことを最優先したパッケージングで作られていることもあって、とにかく広い。

 エブリイもアトレー/ハイゼットカーゴも、後席を畳むことなく1m弱を確保する荷室奥行きはその小さな車体から信じられないほどです。

 奥行き1mというのは「ラージセダンのトランク奥行きに迫る長さ」といえばその凄さが理解してもらえるでしょうか。

 もちろん、後席を畳めば奥行きはさらに広がり、大人2人が横になって寝られるスペースができるのだから、初めて見る人は信じられないでしょう。まさに“車体は小さいけれど中は広い”なのです。

 この広い荷室は、N-BOXやスペーシアなどのスーパーハイトワゴンでは実現不可能です。

 パッケージングの違いから、人を快適に移動させるならスーパーハイトワゴンですが、荷物をたくさん積む、もしくは車中泊前提なら軽バンが断然有利です。

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