謎の「徐行」標識 “何キロ”までならOK? 「最徐行」はどんな意味なの? 実は“あいまい”な定義だった「正しい徐行の仕方」とは
「徐行」とはどのような走行を示すのでしょうか。
「徐行」に定義はない? どう走ればいい?
道路標識の中には「徐行」と書かれたものがあり、この標識のある場所では「ゆっくり走行しなければならない」と認識している人もいるでしょう。
しかし、この「徐行」とはどのような走行のことをいうのでしょうか。
近年では英語表記を並べて「徐行 SLOW」と書かれているものもありますが、「徐行」の標識とどちらも同じ意味を持つ標識です。
徐行と言われると、減速が必要と考えるかもしれませんが、具体的にどの程度まで減速すればいいのでしょうか。
徐行とは、道路交通法第2条20項において「車両等が直ちに停止することができるような速度で進行すること」と定められています。
一方で、具体的な速度が定められているわけではないことから、どの程度の速度であれば徐行したことになるのか迷うことがあるかもしれません。
例えば教習所では「10km/h以下で、ブレーキを踏んでから1m以内に停止できる程度の速度」と指導されることもあるようです。
しかし、乾燥した路面に比べて、雨の日の濡れた路面、冬の積雪路や凍結路では、ブレーキを踏んでから実際に停止するまでの距離が長くなる傾向にあるため、10km/hであっても徐行しているとは言えない場合もあります。
徐行しなければならない場所のひとつが、道路標識で指定された場所、区間です。
徐行の標識の下に「ここから〇m」などと距離が表示されている場合は、表示された範囲内での徐行が必要です。
これは「補助標識」と呼ばれる表示で、その上にある標識の情報を補完したり、付け加えたりしています。
ほかにも「→(右矢印)」や単に「ここから」と書かれている場合は、「←(左矢印)」や「ここまで」または「〇」に青いスラッシュの表示が出てくるまでの区間で徐行が必要です。
さらに、道路標識がない場合でも徐行が必要な場所については、道路交通法第42条で定められています。
例えば、「左右の見通しがきかない交差点に入ろうとする時」や「交差点内で左右の見通しがきかない部分を通行する時」、「道路の曲がり角付近」や「上り坂の頂上付近」または「勾配の急な下り坂を通行する時」などです。
それ以外にも、「歩行者の側方を通過する時」に安全な間隔が取れない場合や、「道路外に出るために右左折する時」、「ぬかるみや水たまりを通行する時」などにも徐行しなければなりません。
徐行しなければならない場所で徐行を怠ると、「徐行場所違反」として違反点数2点、普通車の場合は7000円の反則金が科される可能性があります。
なお、駐車場内などでは「最徐行」という表示がされていることもありますが、これは徐行とは異なり法律で定義された言葉ではありません。
しかし、駐車場内は死角が多く、事故も多い傾向にあり、最徐行の表示がある場所では、歩行者の通行が多いなどの事情が考えられるため、徐行よりもさらに注意してゆっくりと通行するといいでしょう。
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なお、徐行の標識の有無にかかわらず、見通しの悪い場所ではすぐに停止できる程度のスピードで走行することが大切です。
例えば、「止まれ」の標識があり一時停止が必要な場所では、停車して安全を確認したらすぐに加速するのではなく、徐行で注意しながら進むと安全です。
また、10km/h以下という目安にとらわれず、路面状況や周囲の状況をよく確認して、違反にならないかだけでなく、しっかり安全確認できるかという意識を持って通行するといいでしょう。
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