斬新すぎる「“2階建て”SUVミニバン」!? パカっと開く「スゴい屋根」&超タフデザインがカッコイイ! 悪路も走れる「車中泊専用車」とは
日常使い可能ながら、ポップアップ(跳ね上げ)式のルーフを展開すると、すぐに寝床にできるキャンピングカーが存在します。そのなかでも、本格的な走破性能を持つSUVミニバンにポップアップルーフを装備したモデルが販売されていたのです。
デリカD:5の祖先「デリカスターワゴン」に存在した「二階建て仕様」
1986年に登場した三菱「デリカ スターワゴン」は、ピープルムーバーでありながら悪路に強く、外観も無骨であり人気を保っています。
そのデリカ スターワゴンには、ポップアップルーフを持つキャンピングカー仕様も存在しました。
アウトドアブームの高まりで、ミニバンにポップアップルーフを備えたキャンピングカーや車中泊仕様が、各メーカー・キャンピングカービルダーなどから続々と販売されています。
ポップアップルーフが注目される理由は、「就寝定員」の多さにあります。
ミニバンの形状をそのまま保った、いわゆる「バンコン型」のキャンピングカー、もしくは車中泊仕様車の場合、乗車定員が4名もしくは5名でも、スペースの関係で就寝定員が2名となることが普通です。
そこで、ルーフが上部に大きく開閉し内部に大人2名が横になれる空間を確保したポップアップルーフを装着し、「二階建て」構造にすることで、乗車定員とおおむね同じ就寝定員を確保することができます。
日本車におけるポップアップルーフの歴史は古く、1972年に三菱の商用/乗用ワンボックスカー「デリカ」に、ポップアップルーフを載せた純正キャンピングカーが設定されたこともあります。
その後、デリカは1979年に四角いスタイルの2代目にフルモデルチェンジ。5ナンバー登録で装備を豊かにした乗用モデルはデリカスターワゴンと名付けられ、1982年にはジープ譲りの悪路走破性を誇る4WDも追加されています。
多人数乗りのワンボックスカーとクロスカントリーカーのクロスオーバー車のはしりとも言える存在で、そのキャラクターは現行型の「デリカD:5」にも受け継がれています。
そして1986年、フロントウインドウの角度を傾け、スタイリッシュな意匠を各部に施した3代目デリカ/2代目デリカスターワゴンに発展。
高級感を増した内装、定評ある悪路走破性などから、デリカスターワゴンはヒット作となりました。大径タイヤや高い地上高、無骨な外観は大きな魅力で、中古車市場では現在も高い人気をキープしています。
そして、この3代目デリカ/2代目デリカスターワゴンにも、三菱がメーカー純正で用意したポップアップルーフ装着モデルがありました。
デビューは1990年。「デリカキャンパー」という車名で登場しました。
ポップアップルーフやインテリアパーツには、キャンピングカーの本場・欧州は当時の西ドイツ「ライモ(REIMO)」製を採用。
パーツの輸入や製造元は、キャンピングカービルダーで現在も盛業中のバンテック、架装は新菱自動車整備(のちの三菱自動車テクノサービス、現:三菱自動車ロジテクノ)が担当しました。
バリエーションも豊富で、ポップアップルーフを持つ「デリカキャンパー 4WD」、「デリカキャンパー 2WD」、そして固定式のハイルーフを持つ「デリカキャンパー 2WDロング」を設定。
内装は、デリカキャンパー 4WDとデリカキャンパー 2WDでは横向対座ソファーのAタイプと、前向対座ソファーのBタイプを選択可能でした(デリカキャンパー 2WDロングではBタイプのみ)。
シンプルながらも使い勝手に優れたデザイン・設計は、本格派キャンパーを名乗るにふさわしい仕上がりを誇りました。
翌1991年、車名を「デリカキャンピングカー」に変更。バリエーションも車内の配置違いでタイプIからIVに変わりましたが、屋根上のライモ製ポップアップルーフはもちろん健在。
ギャレーやシンク・ガスレンジ、水タンクはどのタイプでも標準装備とされていました。
その後も販売は続き、車名が「デリカスターワゴン キャンピングカー」となり、モノグレードとなったのを1990年代半ばのカタログで確認することができます。
また、車内を通常モデルの3列シートのまま、ポップアップルーフを持つ仕様も存在したようです。
なおデリカスターワゴンは、後継モデルの「デリカスペースギア」が1994年に登場後もグレード数を縮小して販売を行なっていましたが、1999年に国内向けの生産を終了。そのためキャンピングカー仕様も、その頃までには販売を終えたものと思われます。
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そして驚くことに、三菱では「パジェロ」にポップアップルーフを与えた「ワンダーパジェロ」も販売していました。
今やSUVにルーフテントを載せるのは流行のひとつです。海外では、デリカのポップアップルーフ仕様は「オーバーランドスタイル」として評価されています。
1980年代からレジャーブームを牽引してきた三菱だけあって、先見の明があったことに驚きを隠せません。
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